格闘技・プロレス

“房総のバッドボーイ”の必然的敗北。元西武・相内誠が悔しさを滲ませた理由とは?「野球上がりってことで…」

THE DIGEST編集部

2021.03.01

拳信王の鋭いパンチやキックを受け、為す術なく相内は敗れた。 写真:滝川敏之

 再起となった一戦はわずか125秒で決着がついた。

 2月28日、神奈川の横浜アリーナで、キックボクシング団体RISEの年間最大ビッグマッチ『RISE ELDORADO 2021』が開催され、第3試合に登場した西武ライオンズで投手として活躍した元プロ野球選手の相内誠(フリー)は、Delgermuru拳信王(モンゴル/FLAT UP)に2度のダウンを奪われ、2分5秒でTKO負けを喫した。

 試合後に「ボコボコにされちゃいました……」と漏らした言葉が全てを物語っていた。

 昨年4月に2度目の不祥事を起こしたことがキッカケで、昨オフに8年間在籍したプロ野球の世界から退いた相内は、「もともと興味があった」というキックボクシングへの電撃転身を決意。その後、約1か月間の集中トレーニングを重ねたが、アマチュアも含めて初の試合となった男と2010年からプロ経験を積んでいた拳信王との差は誰の目にも明らかだった。

 手足の長い相手のリーチを警戒しながら攻勢に出た拳信王は、「もらったらすぐに効いて、(気持ちが)折れていたのを凄く感じた」と確実にローとミドルを当て込んでいく。そして、左ミドルを脇腹に受けて1度目のダウンを奪われた相内は、苦悶の表情を浮かべながら立ち上がるも、左ミドルキック、左パンチを受けて2度目のダウン。最後はラッシュに屈した。

【動画】RISE公式が紹介! 相内誠とDelgermuru拳信王の対戦の瞬間はこちら
 全く策がなかったわけではない。「最初はしっかり距離を取って、蹴りをカットして、相手に『カットできるんだ、やれるじゃん』ってところを見せるつもりだった」という。しかし、相内はリング上で、まざまざと"現実"を突き付けられた。

「いきなりもらっちゃって、それどころではなくなった。右ヒザで倒すのが理想の形で、自分が相手にヒザを出した記憶もありますけど、全然届かなかったですね……」

 練ってきた対策が通じずに、焦りから動きが大雑把になってしまい、そこを見事に突かれてしまった。相内は「2回目のダウンをとられた記憶がない。なんで倒れているんだっけってなった」と語り、次のように続けた。

「覚えているのはミドルキック(最初のダウン)だけですね。多分、アバラ骨が何本かいっちゃっていましたね。痛みを顔に出しているようじゃ、まだまだですよね。練習でもボコボコにされたことはあるんですけれど、すぐに慣れるのは難しいですね」