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ラグビー

新型コロナがあぶり出した日本ラグビー界の課題。本当の意味で『ONE TEAM』となる日は来るのか

向風見也

2021.03.08

B・バレットら大物が参入したトップリーグは、2022年1月から新リーグに移行予定だ。写真:徳原隆元

B・バレットら大物が参入したトップリーグは、2022年1月から新リーグに移行予定だ。写真:徳原隆元

 国内最高峰ラグビートップリーグの第2節を翌日に控えた2月26日、「新型コロナウイルス感染症 (第 4 回)核酸検出検査結果報告」がリリースされた。怪我で入院中の選手を除く全16チームのプレーヤー、スタッフ「1194名」の陽性数は「0件」。2月上旬から週に1度実施し、公表されてきたこのテストで、「0件」が出たのは3回連続3回目だ。

 もともと2週間に1度だった検査の間隔を縮めたのは、危機感の表れだった。1月14日までに計4チームで18名の選手、スタッフに新型コロナウイルスの陽性反応が出て、予定されていた1月16日からの開戦が叶わなくなったからだ。

 トップリーグに加盟するチームは企業の傘下にある。選手にもプロと社員が混在しているため、リーグ側が感染症対策を怠った者へ罰則を与えるような措置は取りづらい。それでも突然の開幕延期という事態を受け、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(日本協会)は、同協会内のトップリーグ部門がウイルス対策をより強くリードするよう舵を切った。
 
 ここで存在感を示したのは、日本協会の岩渕健輔専務理事だった。

 元日本代表ゼネラルマネージャーの岩渕は、トップリーグの太田治チェアマンやトップリーグの各クラブと協働し、感染防止のためのガイドラインを改定。「チームにお任せしていたような中身にも協会として深く入っていくようにした」と、外食をはじめとしたプライベートの事案にも従前以上に踏み込んだという。
 
 こうしたガイドラインの変更を経て、感染者数を一気に絞り込んで今に至る。その経緯を踏まえると、本来ならより早くリーグ主導での感染症対策に踏み切れれば、よりポジティブな結果が得られていたかもしれない。

 裏を返せば、この意思決定のスピード感こそが、間もなく発展的解消を遂げるトップリーグの本当の課題だと捉えられよう。

 各部がそれぞれに感染予防策を講じてきたのは確かだ。在京チームの関係者は「定例のトップリーグ代表者会議では、オープンになっていない事例を含めて感染の報告を受け、対策を話し合ってきた」と強調。あるクラブが管理するビュッフェ形式の食堂には、アルコール消毒剤や使い捨ての手袋、テーブル上の間仕切りが施されていた。

 それでも開幕直前にあちこちでクラスターが生まれ、ファンやメディアに管理体制を指摘された。やや不揃いだったかもしれぬ足並みが揃ったのは、有事が起きてからだった。
 
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