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瀬戸大也は五輪への不安を払拭できるか。『日本選手権』で国民の信頼を取り戻す条件は?

矢内由美子

2021.04.02

競泳界唯一の東京五輪内定者である瀬戸大也。4月の日本選手権では3種目に出場する。(C)Getty Images

 女性問題で昨年10月から2か月半の活動停止処分を受けた東京五輪の競泳日本代表内定選手・瀬戸大也(TEAM DAIYA)が、4月3日に東京アクアティクスセンターで開幕する日本選手権(兼東京五輪代表選考会)で、200m、400mの個人メドレーと200mバタフライの3種目にエントリーしている。

 瀬戸は2019年世界選手権で個人メドレー2冠を達成し、この2種目で東京五輪の代表に内定している。現時点で競泳界ただ1人の内定選手だ。

 もうひとつのエントリー種目である200mバタフライの代表権獲得は、4月の日本選手権の結果次第だが、この種目も瀬戸が日本記録を持っている。また、19年世界選手権では銀メダルを獲得している。普通に考えれば東京五輪では3種目の優勝候補という位置づけになっているところだろう。

 ただ、復帰初戦だった2月上旬のジャパンオープンでは400m個人メドレーで4分12秒57を出して優勝したもののタイムは自己ベストより約6秒遅く、200mバタフライでは1分56秒32で3位、200m個人メドレーでは後半に激しく失速して2分3秒89で8位。続く復帰2大会目だった2月下旬の東京都オープンでも400m個人メドレー3位、200mバタフライ6位と苦しんだ。
 
 結果が振るわなかったことには、もちろん理由がある。ジャパンオープンの200mバタフライと200m個人メドレーは同日に行われ、しかも種目間は約20分しかなかった。200m個人メドレーで8位という信じられないような順位だったのは、直前に泳いだバタフライの疲れが抜けきっていなかったからだ。加えて、東京都オープンの時は、大会直前まで合宿で追い込んでいたために疲労が蓄積していた。

 ただ、理由が明確であっても不安は残る。瀬戸の場合、昨秋の活動停止期間だけでなく、その前の段階、昨年3月に東京五輪の1年延期が決まった後のモチベーションの低下が大きかったからだ。緊急事態宣言中に練習できなかったことはどの選手にも降りかかったことだが、瀬戸は気持ちの落ち込みが激しかったと言っていた。