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「燃え尽きさせるつもりはない」角田裕毅の育成方針を明かしたグループ顧問。「カリスマ性がある」と人間性も評価

THE DIGEST編集部

2021.04.06

アルファタウリのチームプリンシパルでありトスト氏は、「F1で成功する未来が彼を待っているだろう」と明るい未来を予言した。(C)Getty Images

 F1デビュー戦となったバーレーングランプリで9位入賞を果たしたスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。目標としていたポイント獲得を達成したルーキーに対しては、所属チームはもちろん、彼を支援するレッドブルグループからも賛辞が寄せられている。

 アルファタウリのチームプリンシパルでありフランツ・トストは、チームに加入してからの角田のここまでの歩みを振り返って「幸運な部分もあった」と認め、また世界を混乱させているコロナ禍についても、角田に関しては「良い方向に作用した」と明かした(『RN365』より)。

「コロナ禍による旅行制限のため、角田は1月末から2月いっぱい、ずっとイタリアに滞在していた。この時間は、チームをまとめるのに大いに役立った。その意味で、コロナウイルスはポジティブなものとなった」

 その間、角田はチームとのディスカッションに多くの時間を費やし、また様々なデバイスのテストを定期的に行なうことができたという。

「イモラとミサノでテストを完了するまで、彼はエンジニアと何度もミーティングを行ない、車のセットアップ、ステアリングのスイッチ類、その他の様々な操作など、様々な情報を得ることができた」

「これらのことが彼を助け、現在、角田はチームに溶け込み、リラックスできている。チームの全スタッフが彼のことを気に入っており、良い関係を保っている」
 
「パンデミックが彼に幸運を運んだ。これが、彼のプロセスを加速させたのは事実だ」と語ったチーム責任者は、「角田は走るたびに良くなる。彼の学習曲線は急激に上昇している。これは重要なことだ。天性の能力とドライビングのスキルは非常に高く、このまま学び続けていけば、F1で成功する未来が彼を待っているだろう」と、彼のキャリアの明るい未来を展望した。

 また、レッドブルの顧問であるヘルムート・マルコは、F3時代から成長を見守ってきた日本人ドライバーについて、そのドライビング能力を褒めるだけでなく、「角田はカリスマ性があり、とても面白い人物でもある。彼のようなドライバーをグループに迎えられて、とても嬉しく思う」と人間性をも評価している(『Formel1.de』より)。

 メディアの間では、角田が来季にもレッドブルに昇格するのではないか? ともいわれているが、「まだ23のレースのひとつが終わったばかりだ。今後、どのように彼が進化していくかを見守っていきたい。角田は信じられないほどの可能性を秘めたダイヤの原石だ。我々は焦って彼を昇格させ、燃え尽きさせるつもりはない。タイムリーに判断を下したい」と、早期の動きを否定した。

 ドライバーにあまり時間を与えないことで知られるレッドブルが、これほど大事に扱おうとしているところからも、角田の非凡さが窺い知れる。20歳の「小さな巨人」は、これらの期待に応えて、今後も驚きと喜びをチームにもたらすことができるか。

構成●THE DIGEST編集部

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