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角田裕毅は“日本人初“のF1チャンピオンになれるか?名ドライバーたちの足跡から探る「黄金ルーキー」の可能性

甘利隆

2021.04.15

1年目から3度の表彰台をつかみ取ったセナ(右)。角田(中央)が参考にすべきは、アルファタウリの前身で結果を残し、ステップアップを果たしたベッテル(左)のキャリアか。(C)Getty Images

1年目から3度の表彰台をつかみ取ったセナ(右)。角田(中央)が参考にすべきは、アルファタウリの前身で結果を残し、ステップアップを果たしたベッテル(左)のキャリアか。(C)Getty Images

 角田裕毅はF1デビュー戦のバーレーンGPで9位入賞。早くも優れたドライバーであることを実戦で証明した。しかし、複数回入賞する“グレーデッドドライバー”と“グレイテストドライバー”の差はとてつもなく大きい。

 今回はその年の“グレイテストドライバー”のみが辿り着ける、ワールドチャンピオンに輝いた経験を持つ何人かのドライバーと、角田の初陣を比較してみたい。

 F1はチーム及びマシンの競争力の違いがリザルトを著しく左右する。

 優勝を狙えるようなチームからデビューすれば好成績を残しやすいが、これは滅多にないケースで、ルイス・ハミルトンが当てはまる。

 ハミルトンが加入した2007年当時のマクラーレン・メルセデスは、前年こそ未勝利に終わったものの、コンストラクターズランキングは3位と依然トップチームのひとつと目され、現在とは体制が違い、ロン・デニスが率いていた。

 デニスの寵愛を受けた2006年のGP2チャンピオンは“マクラーレンの秘蔵っ子”として開幕戦オーストラリアGPに臨み、予選4番手から3位表彰台を獲得。その後も第9戦のイギリスGPまで連続して表彰台に立ち、通算4勝。タイトルまでわずか1点のランキング2位という成績を収めた。
 
 これだけでもルーキーとしては十二分な活躍だが、チームメイトの2年連続王者、フェルナンド・アロンソと同点ながらランキングで上回ったことは特筆に値する。
 
 似たようなケースに1996年にウィリアムズ・ルノーからデビューしたジャック・ヴィルヌーヴがいる。悲運の死を遂げたフェラーリのエース、ジル・ヴィルヌーヴの息子として注目を浴びる中、初戦のオーストラリアGPでいきなりポールポジョンを獲得。マシントラブルで後退するまでその年タイトルを手にするデーモン・ヒルを従え、2位表彰台に立った。

 だが、F1の歴史に燦然とその名を刻むドライバーの中にも中堅・弱小チームで初レースを戦った者は少なくない。今なお世界中のファンを惹き付けてやまないアイルトン・セナも1984年のデビューは前年ランキング9位のトールマン・ハートからだ。

 大雨に見舞われた第6戦モナコGPではトップを走るアラン・プロストをファステストラップで追い詰める伝説的なドライビングを見せることになるが、母国ブラジルでの開幕戦はターボのトラブルでリタイア。しかし、第2戦の南アフリカGP、第3戦ベルギーGPでは6位入賞。モナコでの2位を含む3度の表彰台を1年目からつかみ取った。2度目のポディウムとなったイギリスGPで優勝したニキ・ラウダから祝福を受ける光景は、王位継承の儀式を思わせた。
 
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