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【NHKマイルカップを掘り下げる】血統が生きたシュネルマイスターの勝利。クロフネ以来、20年ぶりに外国産馬が戴冠

三好達彦

2021.05.10

最後は写真判定にもつれ込む激戦をシュネルマイスターが制した。写真:産経新聞社

 3歳のマイル王決定戦、NHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m)が5月9日に行なわれ、単勝2番人気のシュネルマイスター(牡3歳/美浦・手塚貴久厩舎)が、7番人気のソングライン(牝3歳/栗東・林徹厩舎)をハナ差で下して優勝。やや離れた3着には1番人気のグレナディアガーズ(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)が入ったが、3番人気に推されたバスラットレオン(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)はスタート直後に躓いて落馬、競走を中止した。

 スタートではバスラットレオンがいきなり落馬するという波乱の出だしとなった今年のNHKマイルカップだが、ゴール前は馬群から抜け出してきた2頭による息詰まる競り合いとなった。

 ピクシーナイト(牡3歳/栗東・音無秀孝厩舎)が逃げ、ホウオウアマゾン(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)とグレナディアガーズがそれを追う。ソングラインは先団の後ろ目に位置を取り、シュネルマイスターは中団に控えた。
 
 ピクシーナイトが刻んだ1000mの通過ラップは56秒9というハイペース。そのため苦しくなった同馬とホウオウアマゾンが直線坂下で馬群に吸収され、変わって抜け出したグレナディアガーズをさらにソングラインが交わして先頭に立つ。そして、そこで満を持して襲い掛かったのがシュネルマイスターだった。ソングラインを一完歩ずつ追い詰めると、2頭は鼻面を揃えてゴール。写真判定の末、シュネルマイスターがハナ差先んじて、念願のGⅠタイトルを手にした。走破タイムの1分31秒6は、2010年にダノンシャンティが記録したレースレコードに0秒2差と迫る速さだった。

 シュネルマイスターは、父にマイルGⅠを4勝したキングマン(Kingman)、母に独オークスを制したセリエンホルデ(父Soldier Hollow)を持つドイツ産馬(母はその後、日本へ輸入された)。2歳時にデビュー戦から2連勝を果たし、3歳初戦で重賞初挑戦となった弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)で2着に入って、皐月賞(GⅠ)への優先出走権を得たが、陣営はより短い距離のほうが向くと判断して、それを回避。狙いすましてNHKマイルカップへと駒を進めてきての勝利だった。
 

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