2021年F１世界選手権はここまで４戦を終えたが、ひとつの特徴として挙げられるのが、移籍組、ルーキーの苦戦ぶりだ。

　程度の差はあるものの、カルロス・サインツ（マクラーレン→フェラーリ）、セルジオ・ペレス（レーシングポイント→レッドブル）、ダニエル・リカルド（ルノー→マクラーレン）、セバスティアン・ヴェッテル（フェラーリ→アストンマーティン）、フェルナンド・アロンソ（他カテゴリー→アルピーヌ）はいずれも、結果でチームメイトを下回っている。

　ルーキーに関しても、戦前から期待されていた角田裕毅（アルファタウリ）はピエール・ガスリーと比べてポイント差こそわずか６だが、予選やレースの内容では差の開きを感じさせる。ハースは２人ともルーキーということで、ニキータ・マゼピンに大きくタイム差をつけているミック・シューマッハーは“例外”と言えるかもしれないが、それでも順調と言うことは難しいだろう。
  　この傾向の理由について、ポーランドのモータースポーツ専門メディア『CYRKF1』が検証。幾つかの要因を挙げて解説している。

　最初に挙げられたのは、テスト時間の少なさだ。開幕前のプレシーズンテストを見ても、2019年は８日間だったのが、翌年は６日間、そして今年はさらに半分の３日間に短縮され、ドライバー１人の持ち分はわずか1.5日間しかなかった。これでは、新たなチームに所属したドライバーが適応することは不可能だと同メディアは指摘する。

　角田の場合、このハンデを少しでもカバーするため、アルファタウリが２年前の車を使って複数回のプライベートテストを実施したことは周知の通りだが、同メディアはこのテストを「チームの構造や特徴を理解する上で役立つ」としながらも、効果は限定的であり、角田にしても開幕戦バーレーン・グランプリでは好パフォーマンスを発揮して称賛されるも、次の週末（GP）では悪化したことを紹介している。また別の例として、父親の財力によって多くのプライベートテストの機会を得たマゼピンを挙げることもできる……。