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“お家芸”体操の新エース・橋本大輝の成長曲線をDスコアで検証!金メダル獲得のための課題はズバリ…

矢内由美子

2021.05.20

東京五輪代表権を掴み取った19歳の橋本。2019年から着実にDスコアを伸ばしている。(C)Getty Images

 体操の東京五輪選考会を兼ねたNHK杯が5月15、16日に長野市ビッグハットで行なわれ、男子個人総合を制した橋本大輝(順天堂大学2年)が団体総合のメンバーに内定した。

 橋本は4月にあった全日本個人総合選手権も制しており、NHK杯と合わせてオールラウンド2冠を達成。追う立場だけでなく、追われる立場となったのは、五輪本番を戦ううえでもプラスに作用していくだろう。

 橋本は市立船橋高校3年だった2019年に世界選手権に出場して脚光を浴びているが、その時は既に決まっていた谷川翔、谷川航、萱和磨と団体メンバーを組む際にチーム得点が高くなる「団体貢献度」での代表入りだった。

 世界レベルのオールラウンダーへの急成長が始まったのはこの後だ。代表メンバーによる日本代表合宿では、リオ五輪後に日本を上回るようになったロシア勢や中国勢に追いつくべく、チーム全体で難度の高い技に取り組み、ここで橋本は鉄棒におけるG難度の離れ技「カッシーナ」をマスターした。

 さらに、初めての国際舞台だったドイツ・シュツットガルトでの世界選手権で、国際審判から演技の出来栄えを示すEスコアで高い評価を受けて自信をつけた。当時、水鳥寿思男子強化本部長は「期待はしていたが、期待以上だった。Eスコアで世界的に高評価を得たのは大きな収穫です」と興奮気味に話していた。
 
 ドイツから帰国した後は、個人総合で世界と戦うための取り組みとして、各種目で難度を上げていった。そこからの上昇ぶりは数字に如実に表れている。主要大会のスコアを見ると以下のようになる。

■19年11月スーパーファイナル
 86.031点
 Dスコア合計35.0点
■20年12月全日本個人総合選手権決勝
 86.432点
 Dスコア合計35.8点
■21年4月全日本個人総合選手権決勝
 88.532点
 Dスコア合計36.6点
■21年5月NHK杯
 86.165点
 Dスコア合計35.9点
 
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五輪で金メダルを獲るための課題は?