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「大目に見てもらう権利はある」F1で苦戦中の“ルーキー”角田裕毅を英メディアが擁護。「チャンスを得るに値」と浮上に期待!

THE DIGEST編集部

2021.05.27

市街地をひた走る特有のレースに苦戦を強いられた角田だが、現地メディアでは挽回のチャンスがあるという声も上がっている。(C)Getty Images

市街地をひた走る特有のレースに苦戦を強いられた角田だが、現地メディアでは挽回のチャンスがあるという声も上がっている。(C)Getty Images

 F1第5戦のモナコ・グランプリでは16位で完走したスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。フリー走行2回目(FP2)でのアクシデントから悪い流れを引きずる形で、初体験となる伝統のレースを終えた。
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“抜けない”市街地コースの洗礼を受け、前の車に肉迫しながらもオーバーテイクするができず、ストレスの溜まる78周を強いられた角田については、英衛星放送『Sky Sports』も「コース初心者であったり、車への信頼感が抱けなかったりする場合、モナコは走りたい場所ではない。とはいえ、ピエール・ガスリーの結果を考えれば、ツノダの予選Q1敗退は非常に残念なものだった。それゆえ、決勝で彼に残された希望はセーフティカーの出動ぐらいであり、他にできることはなかった」と評している。

 また同メディアは、日本人ルーキーの今季ここまでを「開幕戦バーレーンGPで見る者に強い印象を与えてF1キャリアをスタートしたが、以降、急速に下り坂を辿っている」と振り返ったが、各国の多くのメディアが同様の見方を示している。

 メキシコのスポーツメディア『MINUTOD』などは「価値の低くなった宝石」と現在の角田を表現。ドライバーに見切りをつけるのが早いことで有名なレッドブルグループだけに、「日本人は危機に瀕している可能性がある」と示唆した。

 しかし、21歳になったばかりの角田に対して前向きな展望を示すメディアも存在する。英国の『AUTOCAR』もそのひとつで、「バーレーン以降、驚くほどキャリアが下り坂になり、衝動的な無線での言動や無理なドライビングという、誤った形で注目されている」と厳しい内容で紹介しながらも、「リベンジのチャンスはあり、それを得るに値するドライバー」とも見ている。

 さらに同メディアは、「今季限りで撤退するホンダの“ゴリ押し”によってF1へ引き上げられた」「F1は早すぎた」という見方を否定。下部カテゴリーでの確固たる実績はF1の舞台で走るに相応しいものだと評価した上で、「彼にはまだ、トップレベルでやるべきことが幾つもある」と、学習段階にあるということを強調した。
 
 角田が確かなドライビング能力を持っているのは間違いないが、F1は下部カテゴリーとは比べ物にならないほど空力面が走りに影響するため、そこに適応するのに本人も予想しなかったほど苦労していると見る同メディアは、こうも指摘している。

「それは彼だけでなく、多くのドライバーがルーキー時代に経験し、適応していく者もいれば、最後まで軌道に乗れずに早々にF1のグリッドから消える者もいる」

 そもそも、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)やダニエル・リカルド(マクラーレン)のような経験豊富なドライバーですら、今季は新たなチームで苦労している状況であり、ルーキーには「少しぐらい大目に見てもらう権利がある」というのだ。

 そして、同メディアは「イモラ、ポルティマオ、バルセロナでのレースのリベンジを果たす場所としては、モナコは最悪のコースであり、彼は(FP2で)ガードレールの餌食になったが、それは彼だけではない。立て直しを図ろうとしている角田にとって、今が最低地点に違いない」と、同メディアは期待も込めて、記事を締めている。

 モナコでも、前が空いた際には良い走りを見せ、終盤にはファステストラップも刻むなど、実力の片鱗を見せた角田。ルーキーとして経験を積むことだけでなく、有望チームの一員としてポイント奪取も求められるという厳しい環境に置かれており、ゆえに焦りや苛立ちが表に出てしまう21歳は、アゼルバイジャンGPで浮上のきっかけを掴むことができるか。

構成●THE DIGEST編集部
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