専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
格闘技・プロレス

朝倉未来が突き付けられた“圧倒的現実”。屈辱の2敗は「幻想が打ち砕かれた」男に何をもたらすか?

THE DIGEST編集部

2021.06.15

得意の打撃で主導権を掴みに行った未来(右)だったが、徐々に後手に回っていった。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

得意の打撃で主導権を掴みに行った未来(右)だったが、徐々に後手に回っていった。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

「“圧倒的現実”がそこにあった」

 これは6月13日に開催された『RIZIN.28』を終えた榊原信行CEOの言葉だ。舞台となった東京ドームは、RIZINの前身とも言えるPRIDEが1997年に第1回大会を開催した場所。つまり高田延彦がヒクソン・グレイシーに敗れた舞台である。

 高田はヒクソンに連敗。“グレイシー・ハンター”と呼ばれた桜庭和志もヴァンダレイ・シウバに連敗を喫した。分かりやすいハッピーエンドが簡単には訪れないのが、格闘技。というより、誰もが望む結果などというものはないと言ってもいい。誰かが笑えば誰かが泣く世界なのだ。

 シビアな現実を突きつけられ、受け止め、立ち上がる。そんな選手たちの姿をファンは見届けてきた。それがPRIDEのイズムであり、RIZINにもそれは受け継がれている。

 6.13東京ドーム大会のメインを飾ったのは、朝倉未来vsクレベル・コイケだ。YouTuberとしても活躍する日本屈指の人気選手と、日系ブラジル人の柔術家、さらにフェザー級トップファイター同士の対決でもあり、次期王座挑戦者決定戦という面もある注目の一戦だった。
 
 打撃vs寝技の相反する個性を持つ両雄は、立ち上がりから持ち味を発揮しようと奔走する。ローキックを放ちながら組み付き、グラウンドの展開を狙うクレベルに対し、未来は付き合わずに徹底した打撃で応戦した。

 だが、2ラウンドに雌雄は決する。クレベルは未来をロープに押し込みヒザ蹴り、パンチ、そしてヒジ打ちと連打。ここで流れを引き込んだ31歳は一気に三角絞めへ。スペースはほとんどなかったが、未来を絞め落とす衝撃的なフィニッシュとなった。

 この時、未来は完全には極まらないと判断していた。しかし、「ベーシックが一番大事」というクレベルの三角絞めは、想像の範疇を超えるものだった。未来は格闘家の中でもとりわけクレバーなタイプだが、クレベルは磨きに磨いた“基本”で、その格闘頭脳を潰してみせたのである。

 28歳のカリスマファイターは、この結果に「自分の幻想が打ち砕かれた。自分自身に落胆しています」とコメント。翌日に自身のYouTubeで現役続行を宣言したものの、「一度考えます、引退も含めて」とショッキングな言葉も口にした。それだけ重たい敗戦だったのだろう。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号