今季、F1にデビューした3人の中で、現時点で最も高い評価を得ているのはミック・シューマッハーだと言われている。
昨季のF2では、角田裕毅、ニキータ・マゼピンを抑えて年間王者に輝いた「皇帝二世」は、弱小チームのハースで苦戦しながらも、チームメイトとの戦いにはほとんどのセッションで勝利し、ライバルと目されるウィリアムズ相手に互角に渡り合ったりと、時折輝きを放つ。クラッシュによる「修理代」ランキングではヴァルテリ・ボッタス、角田の次いで3位につけてしまっているものの、彼への見方はポジティブなものが多い。
ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、チームが今季のマシン開発を諦め、来季に向けての準備を進めている中で、他チームから大きく性能が劣る車を駆ることを余儀なくされているにもかかわらず、この22歳のドイツ人ドライバーが「チームのモチベーションを維持するために、可能な限りのことをやり遂げ、我々がより良い位置にいるという自信を与えてくれる」と、その貢献ぶりを称賛する。
ミック自身は以前、「最後尾を走るのは精神的に厳しいものがある」と本音を吐露していたが、現在は自身の置かれた状況を受け入れ、「このチームでの仕事を楽しんでいる。それは我々のパフォーマンスにも反映されている。これは重要なことであり、現在のハードワークは、後で報われるだろう。その兆候は出てきている」と語っている。
シュタイナー代表から「感謝している」との言葉をかけられるほど、可能な限りの力を注いで仕事を完遂しているミック。7度のワールドチャンピオンに輝いたレジェンド、ミハエルの息子は、父親同様に非常に真面目な人間だが、その人間性を表わす彼の行動を、専門メディア『THE RACE』が紹介した。
それはレース後、パルクフェルメにおいて、ライバルチームの車のタイヤを入念にチェックすることだ。もちろん、それはミックだけでなく、彼のことを目にかけてケアもしている同胞のセバスティアン・ヴェッテルが、同じことをやっていたことはよく知られている。
ただ、ミックの場合はそれを「カート時代からやってきた」といい、今後も続けていくという。その理由を、「他車のタイヤがどのように見えるかを知るのは大事なこと。タイヤは『開かれた本』のようなもので、車の細かな状態を全て教えてくれる。だから、僕にとってこの行動は、レースの一部になっている。他チームのガレージに入って行って、細かい部品までチェックすることはできないから、パルクフェルメは絶好の場所だ」と明かした。
“皇帝のDNA”といった才能の部分だけに頼るのではなく、地道な行為の積み重ねと誠実さで強力なチームとの連係を作り上げ、「チームプレーヤー」として最高峰レースの舞台に上がってきた彼らしいエピソードと言えよう。
「努力」という言葉が似合うミックには現在、来季のアルファロメオ入りが噂されているが、この先、ステップアップを果たしながら、かつての父親のようにF1の頂点に君臨する存在となれるだろうか。角田との対決も含めて、近い将来が楽しみな存在である。
構成●THE DIGEST編集部
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昨季のF2では、角田裕毅、ニキータ・マゼピンを抑えて年間王者に輝いた「皇帝二世」は、弱小チームのハースで苦戦しながらも、チームメイトとの戦いにはほとんどのセッションで勝利し、ライバルと目されるウィリアムズ相手に互角に渡り合ったりと、時折輝きを放つ。クラッシュによる「修理代」ランキングではヴァルテリ・ボッタス、角田の次いで3位につけてしまっているものの、彼への見方はポジティブなものが多い。
ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、チームが今季のマシン開発を諦め、来季に向けての準備を進めている中で、他チームから大きく性能が劣る車を駆ることを余儀なくされているにもかかわらず、この22歳のドイツ人ドライバーが「チームのモチベーションを維持するために、可能な限りのことをやり遂げ、我々がより良い位置にいるという自信を与えてくれる」と、その貢献ぶりを称賛する。
ミック自身は以前、「最後尾を走るのは精神的に厳しいものがある」と本音を吐露していたが、現在は自身の置かれた状況を受け入れ、「このチームでの仕事を楽しんでいる。それは我々のパフォーマンスにも反映されている。これは重要なことであり、現在のハードワークは、後で報われるだろう。その兆候は出てきている」と語っている。
シュタイナー代表から「感謝している」との言葉をかけられるほど、可能な限りの力を注いで仕事を完遂しているミック。7度のワールドチャンピオンに輝いたレジェンド、ミハエルの息子は、父親同様に非常に真面目な人間だが、その人間性を表わす彼の行動を、専門メディア『THE RACE』が紹介した。
それはレース後、パルクフェルメにおいて、ライバルチームの車のタイヤを入念にチェックすることだ。もちろん、それはミックだけでなく、彼のことを目にかけてケアもしている同胞のセバスティアン・ヴェッテルが、同じことをやっていたことはよく知られている。
ただ、ミックの場合はそれを「カート時代からやってきた」といい、今後も続けていくという。その理由を、「他車のタイヤがどのように見えるかを知るのは大事なこと。タイヤは『開かれた本』のようなもので、車の細かな状態を全て教えてくれる。だから、僕にとってこの行動は、レースの一部になっている。他チームのガレージに入って行って、細かい部品までチェックすることはできないから、パルクフェルメは絶好の場所だ」と明かした。
“皇帝のDNA”といった才能の部分だけに頼るのではなく、地道な行為の積み重ねと誠実さで強力なチームとの連係を作り上げ、「チームプレーヤー」として最高峰レースの舞台に上がってきた彼らしいエピソードと言えよう。
「努力」という言葉が似合うミックには現在、来季のアルファロメオ入りが噂されているが、この先、ステップアップを果たしながら、かつての父親のようにF1の頂点に君臨する存在となれるだろうか。角田との対決も含めて、近い将来が楽しみな存在である。
構成●THE DIGEST編集部
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