７月28日、日本武道館にて行なわれた東京オリンピック柔道で、女子70キロ級の新井千鶴（三井住友海上）が決勝でミヒャエラ・ポレレス（オーストリア）と対戦。技ありの優勢勝ちで、五輪初出場にして金メダルを獲得した。

　新井は直前の準決勝で、マディナ・タイマゾワ（ロシア）と16分を越える延長戦の末、送り襟締めで１本勝ち。タイマゾワは試合直後に失神するなど、まさに死闘と言える戦いを制して勝ち上がっていた。

　体力面が心配されていた新井だが、「攻め抜く柔道をしたい」と語っていたその言葉通り、得意とする足技を仕掛け続けて、残り３分８秒に小外刈りで技ありのポイント。その後も守りに回らず攻めの姿勢を貫いて勝ち切った。
  　試合後に金メダル獲得の心境を問われ、「うれしいです！その一言です！」と、目に涙を浮かべながら語った新井。ポイントリードしながらも攻め続けたことについて「もう一本取りに行こうと言う気持ちで、悔いを残して大会を終わらないように攻め切ろうと思いました」と明かした。

　５年前のリオデジャネイロ五輪では、代表選考に敗れて出場は叶わなかった。当時を振り返りつつ「何度もくじけそうになったんですけど、それでも自分の信念をブレさせずにここまでやってきて、しっかり結果が付いてきて本当に良かったです」と、初出場の五輪で頂点に立った喜びを語った。

　新井の金メダル獲得により、日本柔道チームのメダルは合計８枚（金：６、銀：１、銅：１）に。女子では52キロ級の阿部詩に続く２枚目の金メダルとなった。

構成●THE DIGEST編集部

【PHOTO】新井千鶴、五輪初出場で金！16分41秒の死闘となった準決勝など名場面をプレイバック！