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「私の国はとても危険」ベラルーシ陸上女子選手が悲痛な訴え! 日本からの亡命を図った理由を告白【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.02

羽田空港で事情を説明するツィマノウスカヤ。ベラルーシでの投獄を恐れた彼女の行動は小さくない騒動に発展している。(C)REUTERS/AFLO

羽田空港で事情を説明するツィマノウスカヤ。ベラルーシでの投獄を恐れた彼女の行動は小さくない騒動に発展している。(C)REUTERS/AFLO

 まさかの事態に、緊張が走り続けている。

 予期せぬ騒動の渦中にいるのは、東京五輪にエントリーしているベラルーシの陸上代表選手、クリスツィーナ・ツィマノウスカヤだ。

 8月1日に別の選手のドーピング検査をめぐるコーチの不手際を自身のインスタグラムで批判した彼女は、即座に代表を外されて帰国するよう強制された。しかし、羽田空港到着後に、身の危険を感じて、経由地であるイスタンブール行きの飛行機への搭乗を拒否。日本在住ベラルーシ人の協力を得て、当局に保護された。

 英公共放送『BBC』によれば、「現在、日本の警察の保護下に置かれ、オーストリアへの亡命を希望している」というツィマノウスカヤ。米紙『New York Post』など複数メディアは、今回の騒動となった発端として、昨夏に大統領選が行なわれた際に、彼女は反政権デモを支持したことが根底にあると報道。現在のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の長男ビクトル氏が率いるベラルーシのオリンピック委員会から東京五輪における「要注意選手」としてマークされていたとも伝えている。

 そんな状況下で本人も声明を出している。1日にロシア紙『Tribuna』の取材に応じたツィマノウスカヤは、「精神状態に問題があるとされているみたいだけど、私のことを診察したドクターなんていない。走る準備はできていたし、何も問題はない」と強調。さらに東京から亡命を図ろうとした理由を説明した。

「ベラルーシでは刑務所に入れられる不安がある。私は仕事を解雇されたり、代表チームを追放されることを恐れてはいないけど、ただただ私や家族の身の安全が心配なんです。現時点でベラルーシはとても危険です」
 
 1994年からルカシェンコ大統領による強権支配が続くベラルーシでは、反体制派を指示する国民への弾圧も続いている。それはアスリートたちも例外ではなく、容赦のない統制が目立ち始めているという。

 今回の一連の騒動について、ベラルーシメディアのタデウシュ・ギチャン記者は、次のようにツイートしている。

「彼女が代表チームの管理体制を7月30日に批判すると、独裁政権側のメディアは一斉に『あいつは祖国の恥だ』という中傷キャンペーンを開始した。今、ツィマノウスカヤ選手はベラルーシに帰国するのが怖いと話しているが、それはチーム関係者が無理やり彼女を東京の空港へ連れて行ったからだ」

「大事なのは、ツィマノウスカヤ選手が独裁政権の批判を特にしていないという点である。単に、ベラルーシチーム関係者が書類手続きを誤って、何の訓練もしていない競技に彼女を登録してしまったと不満を口にしただけなのに、独裁体制の国営メディアは彼女を国家の敵に仕立てあげた」

構成●THE DIGEST編集部
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