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マラソン・駅伝

主力を欠き「チームは底の状態」だった中央学院が2年ぶりに箱根へ!エースが日本人1位に輝いた緻密な戦略とは?

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.10.24

エース栗原は、意地の走りで日本人トップの座を勝ち取った。写真:滝川敏之

エース栗原は、意地の走りで日本人トップの座を勝ち取った。写真:滝川敏之

 昨年まさかの予選敗退で涙した中央学院が2年ぶりに箱根に返り咲いた。

 10月23日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地にて開催された箱根駅伝予選会に出場した同チームは7位で本戦への切符を掴んだ。会心のレース後、川崎勇二監督は「正直チームの状況は底の状態なんですよ。非常に怖い状態で迎えたなか、(選手たちは)よく踏ん張ってくれた」と本音を漏らした。

 主力の武川流以名や松島匠らがエントリー漏れ、さらに前回大会で関東学生連合として3区を経験した3年生キャプテンの小島慎也も出走メンバーから外れる非常事態だった。そんな指揮官の心配をよそに出場した選手らが死力を尽くしたのである。

 風の強いコンディションで行なわれた同大会。エース栗原啓吾について「軽量で向かい風が苦手な選手」と川崎監督は言う。そのため「ずっと風があったので、集団の前に出るな。向こう(バックストレート側)の追い風に行ったら(前に)出ろ」と指示を出していた。

 栗原は戦略どおり終盤まで日本人トップ集団の後方に控え、風を利用してラスト1.6キロ付近で仕掛けた。最後の直線こそは苦手の向かい風で後続の猛追にあったが、4年生の意地で日本人トップの座を死守した。

 エースの奮闘のほか、1万メートルの持ちタイムが30分台の下級生も1時間4分台でフィニッシュと与えられた役割を全うした結果、復活へとこぎ着けた。
 
 お馴染みの紫シャツ、蛍光イエローのパンツから、今季は蛍光イエローシャツ、黒のパンツに変更した中央学院。この経緯についても指揮官は、雄弁に語る。

「去年油断して…、力が無かったのもあると思いますが、私にとったら(予選敗退は)大きなショックだった。全てを変えたい、とりあえず見た目から変えようじゃないかということで変えました」

 新しくしたものの「ちょっと目立ちにくいですね」と苦笑した。それでも「前に変えた時に、(箱根駅伝の)予選会を突破したんです。今回もおかげ様で2つの予選会(全日本大学駅伝、箱根駅伝)を突破できましたので、このユニホームでしばし続けます」と話す。

 およそ2か月後に行なわれる本戦へ向けては、「1人でも多くの主力たちを通常練習に戻すということが、私の大きな役割ではないかと思います。ワクワクできるような状態で箱根駅伝を迎えたい」と語った。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)
 

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