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ハミルトン、15台抜きの圧巻パフォーマンスに母国メディアは「明らかな勝利」と称賛! ノリスは「彼の車はタイヤを3本にするべき」と冗談も

THE DIGEST編集部

2021.11.14

ハミルトンの驚異の走りに驚きの声が上がっている。(C)Getty Images

ハミルトンの驚異の走りに驚きの声が上がっている。(C)Getty Images

 F1第19戦のサンパウロ・グランプリは11月13日にスプリント予選が行なわれ、メルセデスのヴァルテリ・ボッタスがトップチェッカーを受けて3ポイントを獲得、彼の先行を許したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2番手で翌日の決勝レースをスタートすることとなった。

 戦前の注目は、フェルスタッペンと、パワーユニット交換による5グリッド降格が決定している予選1番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)とのトップ争いだったが、後者は予選でDRS作動時にリアウイングのメインプレーンとフラップの間隔が規定の85mmより0.2mm多く空いていたということで失格となり、最後尾でのスプリント予選参加が許可された。

 一方、フェルスタッペンは予選終了後にメルセデスのリアウイングが「動いているように見えた」として、パルクフェルメで直接触ってたわみ具合を確認したことが違反行為と指摘され、こちらは5万ユーロ(約650万円)の罰金を科せられている。

 わずか「0.2mm」の違反により、ハミルトン、メルセデスにとっては痛恨の極みとも言えるペナルティーとなり、後にチーム代表のトト・ウルフは厳しすぎる裁定として不満を露にしたが、最後尾からスタートした7度の世界王者は、自身の経験とドライビングテクニック、優れたマシン性能を振るに活かした、スペクタクルなオーバーテイクショーをスタート。オープニングラップのターン1で4台をかわすと、毎週のように追い抜きを見せ、24周のショートレースで5番手まで順位を上げてみせた。
 
 スプリント予選の後、ハミルトンは「間違いなく大変だった。チームがスチュワードと協議している間、僕はエンジニアとの仕事に集中し、メカニックの士気を高く保ち、目の前の仕事に集中し、裁定については考えなかった」と、予選後のチームの状況を明かすとともに、以下のように続けている。

「もちろん、裁定を聞いた時は、それは酷い気分だった。しかし、それを引きずるわけにはいかず、冷静になって前に進む必要があった。僕はすぐに気持ちを切り替え、自分にできることを全力で実行することに集中した」

「正直、何ができるか全く分からなかった。スタートの前には、10番手ぐらいまで上がることは可能かもしれないと考え、『よし、それが僕の目標だ、可能な限り前に行こう』と思ったが、はるかに速くポジションを上げることができた。今日はモチベーションのために、本当に様々なものを利用した」

 さらに「僕は、決して諦めない。プッシュし続けなければならない」と語ったハミルトンのパフォーマンスについて、メルセデスはSNSでマクラーレンを鋭く抜き去る場面の動画を公開するとともに、「多くの人々が、この男がどれほど素晴らしいかを忘れていた」と綴って称賛した。

 彼の鮮やかなオーバーテイクの“被害”に遭ったドライバーのひとりであるマクラーレンのランド・ノリスはスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』に対して、「追い抜かれたのは良いことではなかったが、ルイスを抑え込もうなんて愚かな考えはなかった。次元が違っていたからね。彼の前を走り続けることでタイヤを浪費することに何のメリットもなかった」と白旗を上げ、「最後尾から24周で15台も抜けるなら、彼の車はタイヤを3本にして、もう少しハンデを与えないと!」と冗談まじりに語っている。

 英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は、母国のチャンピオンドライバーが「多くのドライバーをターン1でDRSを駆使して追い抜いたが、それぞれの状況に応じて全く異なるコース取りを見せるなど、知性とスピードとスキルを駆使した。彼にとって5番手という結果は大きな報酬であり、決勝10番手のグリッドは大きな努力によるものだ。彼のタスクは土曜日の午後に非常に大きな困難に陥ったが、世界王者は明らかな勝利を掴んだ」と綴った。

 また同メディアは、導入をめぐって今なお賛否両論渦巻くスプリント予選についても、レッドブルとメルセデスのチャンピオンシップ争い、またフェラーリ、マクラーレン、アルピーヌ、アルファタウリの中段争いにエキサイティングな要素を加えたこと、そして「ハミルトンによる極上の24周」が見られたということで、今GPでの開催は「大当たりだった」と結論付けている。

構成●THE DIGEST編集部

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