衝撃のKO劇に対する反響が広まり続けている。

　それは瞬間的な出来事だった――。12月３日（現地時間）にアメリカ、アンカスビルのモヒガン・サンアリーナで実現したベラトール世界バンタム級タイトルマッチは、序盤からRIZIN同級王座との二冠を目指した堀口恭司（アメリカントップチーム）が、現チャンプのセルジオ・ペティス（アメリカ）から主導権を握っていた。
【動画】目の覚めるような裏拳！ ペティスが堀口を沈めた渾身のKOシーン

　打撃とテイクダウンを巧みに繰り出し、王者の自由を奪っていく堀口。王座奪還に邁進する31歳のサムライに対して、「負けていると思った」というペティスは、４回の終了間際に「何とかしなければいけない」と狙いすましたような一撃を繰り出す。

　相手が自身と距離を詰めようと迫ってきた瞬間に、クルッと回った28歳のアメリカンは、バックハンドブローを炸裂。これが堀口の顎に見事に直撃。失神してしまった日本のエースは力なく後ろに倒れこんだ。

　文字通りに一発で猛者を仕留めたペティス。その劇的な“逆転劇”に海外メディアも脚光を浴びせている。この試合を「近年のMMA界でも最高の対戦だった」とまとめたスペイン紙『Marca』は、KOシーンを次のように描写した。

「ベルトは保持されたままだった。王者のペティスは、華麗なターンからの鋭い裏拳で、キョウジ・ホリグチの顎をクリーンヒット。見事にライバルを眠りにつかせて、観客全員を総立ちにさせた」
  　また、チェコのテレビ局『TV Nova』は、ペティスを「幸運な勝者だった」と評し、敗者となった堀口については「結局、負けてしまったが、明らかに勝者にふさわしい内容だった」と称えた。

「当て込んだ打撃数で相手を73-19と凌駕したホリグチは、正確無比なジャブと組み合わせたハードなローキックで明らかに主導権を握り、ペティスのペースを破壊していた。31歳の日本人は各ラウンドでテイクダウンにも成功し、勝利は目前と言っても過言ではなかった。しかし、ペティスの瞬間的な閃きによって生み出されたバックブローに沈んだ。ただ、間違いなく言えるのは、両雄の闘いは誰が見ても本物の闘いであり、ファンは大いに楽しんだということだ」

　珠玉の攻防を繰り広げたペティスと堀口。結果はKO決着となったが、両雄が繰り広げたバトルはリマッチを見てみたくなるほど、高次元のものだったのは間違いない。

構成●THE DIGEST編集部