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フィギュア

「世界の同い年の子に勝ちたい」SPとフリーで3Aを揃え、波に乗る17歳! 河辺愛菜に芽生えた“勝利への欲”【全日本フィギュア】

熊 介子(THE DIGEST編集部)

2021.12.26

今回の全日本女子シングルでは唯一、SPとFSで3Aをそろえて着氷した河辺。(C)Getty Images

今回の全日本女子シングルでは唯一、SPとFSで3Aをそろえて着氷した河辺。(C)Getty Images

 12月25日、フィギュアスケートの全日本選手権が大会3日目を迎え、女子のフリースケーティング(FS)が行なわれた。

 23日に行なわれたショートプログラム(SP)でトリプルアクセルを着氷し、3位スタートとなった17歳の河辺愛菜は、フリーでも冒頭に3Aを組み込み、GOE(出来栄え点)+1・95点がつく出来で成功させた。その後は構成やジャンプがやや乱れたが、転倒などの大きなミスはなく、FS135・38点を獲得。坂本花織、樋口新葉に続く総合209・65点、3位でフィニッシュした。

 同大会は国際スケート連盟(ISU)非公認大会ではあるが、このスコアは河辺にとっては自己ベスト。演技後の囲みでは「130点が出るかどうかくらいだと思っていた。10点間違っているんじゃないかと…驚きでいっぱい」と語った。

 今回、河辺はSPとFSにトリプルアクセルを組み込んだプログラムで臨んだ。17歳のスケーターは有言実行し、女子シングルが3枠を確保している北京五輪出場にも望みを残している。

 大舞台で堂々と自らの武器を投入して勝負に出た17歳のスケーターは、今シーズンにグランプリ(GP)シリーズを経験した。第2戦カナダ大会と第4戦NHK杯に参加し、前者は9位に終わったが、負傷した紀平梨花にかわって参加したNHK杯ではSPで3Aを成功させ、2位でフィニッシュ。この経験が、17歳の意識を変えた。

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「国際舞台という大きな舞台で、メンタルというか、あまり周りを気にしないことができるようになった。去年はできなかったけれど、自分に集中することができるようになったことが、一番良くなったなと思うポイント」

 そして、視野も広がった。カナダ大会で女子シングルを制したのは、ロシアの15歳カミラ・ワリエワ。ほかにもアリョーナ・コストルナヤや、アリサ・リュウ(米国)、イム・ウンス(韓国)ら同世代と同じ舞台で競った。その経験を経て河辺に芽生えたのは、勝利への欲だった。

「(2位になった)NHK杯は表彰台に乗ろうとも考えていなかった。ただ、海外の選手とはまだまだ差があるけれど、あれで少し追いつけた気がした。そして、もっと頑張らないといけない、追いつきたいという気持ちが大きくなった。同い年の海外の子に勝ちたいという気持ちが出てきて、それが良かったのかなと思う」

 ただ、北京五輪への派遣の可能性について問われると、「自分は、まだまだ五輪に出られるレベルに達していない」と控えめに応じた。

「選ぶのは連盟の方で、あまり期待はしていない。ただ、どこの試合に派遣してもらえたとしても、同じ良い演技ができるように、練習を精一杯頑張りたい」

 とはいえ、4年に1度の五輪シーズンに行なわれた国内大会の最終グループで、トップ選手に囲まれた17歳が掴んだ全日本3位という結果は、間違いなく今後の自信に繋がるはずだ。北京五輪に参加する選手は26日の男子フリーが終了した後に発表される。

構成●THE DIGEST編集部

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