頂上決戦の時が迫っている。開幕を目前に控えた北京五輪の男子フィギュアスケートだ。

　目下、金メダルの最右翼と見られているのは、羽生結弦とネイサン・チェン（アメリカ）。前者はオリンピック２連覇中、後者も世界選手権３連覇中という”異次元”のふたりだ。

　無論、宇野昌磨や鍵山優真などメダル候補はいる。それでもトリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ氏（ロシア）が、「彼らは別格だ。一騎打ちになるだろう」と指摘する通り、羽生とチェンが抜きんでている感は否めない。

　両雄はいかなる演技を見せるのか――。文字通りの大一番が迫るなか、アメリカのエースが、立ちはだかる五輪王者について語った。韓国紙『朝鮮日報』が伝えた現地時間２月３日の公式練習後のインタビューで、「できる限りのことをしたい」と意気込みを口にしたうえで、羽生について、こうつぶやいた。

「僕とユヅは決してライバル関係とは言えない」

【フィギュアPHOTO】日本の羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真、米国ネイサン・チェンら北京五輪に参加する男子シングル選手全30名をリストアップ 　熾烈な争いを演じてきた羽生になぜそう語るのか。本音を漏らしたチェンの真意は、もちろんリスペクトがあってのものだ。

「彼はいつだってフィギュアスケート界の象徴的な存在だった。だから、そんな彼とスケートをする機会があるのは、本当に素晴らしいこと。彼は常にこのスポーツを前進させる存在で、これからもそうあり続けるだろう」

　さらにチェンは、「何世代にもわたってレベルを維持するスケーターを見るのは本当に稀なこと」と敬意を表し、「彼はまだピークに達していないんだ。あれだけの継続的な成長は本当に信じられない」と羽生に惜しみない賛辞を贈った。

　はたして、両雄の対決はいかなる結末を迎えるのか。２月８日からスタートする男子SPのハイレベルな争いから目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部

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