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「責任を取るべきは管理者だ」ワリエワを指導するトゥトベリーゼ氏ら“大人たち”を露メディアが猛批判【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.12

練習リンクでワリエワを見つめるエテリコーチ(左から2番目)、セルゲイ・デュダコフコーチ(右)、ダニイル・グレイヘンガウス氏(左)。この“大人たち”に対する非難が起きている。(C)Getty Images

 北京五輪に参加しているロシアオリンピック委員会(ROC)が擁する女子フィギュアスケート選手、カミラ・ワリエワを巡る事態は刻々と変化している。
 
 現地時間2月11日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、ロシアのアンチ・ドーピング機構(RUSADA)がワリエワに対する暫定禁止処分の解除を不服とする国際オリンピック委員会(IOC)、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の提訴を受理したと発表した。

 先日、国際検査機関(ITA)は、ワリエワが昨年12月に行なわれたロシア選手権で採取された検体から、禁止指定物質であるトリメタジジンが検出されたと発表。ここまで検査結果提出が遅れた理由は、WADAの研究所で研究員に新型コロナウイルスの感染があったためと伝えられている。

 CASによる裁定は、女子シングル競技のショートプログラム(SP)が行なわれる2月15日までに下されるとみられる。万が一、裁定が遅れた場合は、ワリエワの出場は可能な状態だ。
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 混沌とした状況が続くなか、15歳のワリエワに対する個人的な責任ではなく、コーチやスタッフを含めた陣営の責任も問われている。露国営メディア『TASS』によれば、RUSADAは11日付けで「ワリエワは未成年であるため、選手を取り巻くスタッフに関して調査を開始した」と伝えている。

 そのロシア国内では、未成年のワリエワを管理する立場にあるエテリ・トゥトベリーゼ氏らスタッフへの非難の声が高まっている。

 現地メディア『Sports.ru』は「英国人記者のワリエワへの失礼な質問には腹が立った。中国も息をひそめるようにロシアを見ている。だが、彼らはその不快な質問をする権利があるのだ。なぜなら一度は裁判所での判決が下った後なのだから」と現状を指摘しつつ、「既定路線として迷走しているのは我々のほう。欧米への憎しみや嫉妬をさけぶのではなく、素直に自分たちことを説明する必要がある」としている。

「考えるべきは、このくそったれな薬がどうやってワリエワに届いたのか。目的は何なのかだ。トリメタジジンは事故か、それとも単に除去する時間がなかっただけの何かの痕跡だったのか? なぜこんな重要な舞台を控えて、数か月前から選手の口にはいるすべてのものをチェックし、禁止されているものが含まれていないか確認しなかったのか?

 なぜ、ドーピングの件で非常に物議を醸す評判の医師(フィリップ・シュベツキーのことだ)がフィギュアスケート団体で仕事をしているのか? 実際には誰が悪いのか、責任を取るべきは誰か。ワリエワ自身のことについて改めて書く必要はない。彼女は15歳、才能は見ての通り。コントロールは、トゥトベリーゼ陣営の責任だ」

 15歳の少女は、ロシア選手権の後に「オリンピックは夢の舞台。目標に向かって頑張りたい」と力強く語っていた。だが、ドーピング違反の検査結果が提出されている以上、その立場は予断を許さない。CASの裁定が待たれる。

構成●THE DIGEST編集部

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