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フィギュア

平昌五輪の金メダリストがワリエワを「リンクに立った時点で勝者」と賛辞! トゥトベリーゼ氏の“叱責”には苦言【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.20

失意のワリエワ(右)に辛辣な檄を飛ばしたトゥトベリーゼ氏(左)。その振る舞いに五輪王者も嘆いた。(C)Getty Images

失意のワリエワ(右)に辛辣な檄を飛ばしたトゥトベリーゼ氏(左)。その振る舞いに五輪王者も嘆いた。(C)Getty Images

 数多の名スケーターたちを育て上げてきた敏腕コーチに対する批判の声は絶えない。各国メディアに、その矛先を向けられているのは、ロシア人コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏だ。

 目下、開催中の北京五輪の女子フィギュアスケートシングルスの金メダリストとなったアンナ・シェルバコワも育成したトゥトベリーゼ氏。彼女が世界的に大きくクローズアップされたのは、2月17日に開催されたフリースケーティング(FS)でのワンシーンに理由がある。

 この日の最終滑走者として登場した愛弟子のカミラ・ワリエワ(ロシアオリンピック委員会)がミスを連発。当然、大きく評価を下げて4位となったのだが、涙ながらにリンク脇に戻ってきた15歳に対し、トゥトベリーゼ氏は「戦うのを放棄したわね。なぜ諦めたの? 説明しなさい。なぜ?」と強い口調で問いただしたのだ。

 今大会期間中に明るみになったドーピング騒動の渦中にある15歳が、壮大なプレッシャーに苛まれたのは想像に難くない。ゆえに47歳の敏腕コーチが見せた厳しすぎる対応には、海外の識者から非難の声が上がった。

 波紋を広げたFSから一夜が明けた2月18日(現地時間)には、平昌五輪のペアで金メダルを手にしたドイツのアリョーナ・サフチェンコが、欧州放送局『EURO Sport』の番組内で「泣きたくなった」と嘆いた。

「わずか15歳の子どもが、ああいう状況で全世界の人々の面前に立っている。あの年代の選手にとって、これは信じられないほどの重荷。もしも私がコーチや関係者なら、彼女を全く滑らせない。ただ守ってあげるだけ」
 
 さらに「北京で起こったことは、二度と起こしてはならない」と断じたサフチェンコは、「このスポーツを傷つけるだけでなく、オリンピックそのものに対する夢や、誰もが望む希望を傷つける」と持論を展開。ワリエワに対するトゥトベリーゼ氏の対応にも「あんな風に扱ってはいけない」と疑問を投げかけた。

「彼女を見ていて、胃がおかしくなりそうだった。このままではいけないと思う。時に子どもの選手は親よりもコーチを信頼していることがある。だからこそ、『こんな負け方をしても救ってくれるんだ』という気持ちが一番大事になる。それなのに、彼女は戻ってきたカミラを抱きしめることもせず、『どうして諦めたの?』と聞くだけ。

 私からしてみれば、カミラはリンクに上がった時点で十分に勝者。他の人なら舞台に立てすらしないはず。自分の演技を表現するなんてもってのほか。指導者なら、まずは休みを与えて、プレッシャーから解放させるべき」

 トゥトベリーゼ氏を糾弾したサフチェンコは、「人間として、私はカミラが一度すべてのことから離れて、新しいチームでやり直すことを勧める」とアドバイス。最後まで重圧に苦しんだワリエワを慮った。

構成●THE DIGEST編集部

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