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「本当に勘弁して!」高梨沙羅ら5名を失格にした審判員が地元局で嘆き。「選手が真剣に取り組むもの」と反論も【プレーバック北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.25

世界で悲しみの声が広がった高梨の涙のジャンプ。その原因となったのは、スーツに対する厳しいジャッジだった。(C)Getty Images

 北京五輪で話題となった出来事を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、スキージャンプの混合団体で、高梨沙羅がスーツ規定違反により失格とみなした審判員の反論を取り上げる。周囲で渦巻いた猛烈な批判に彼女は、真っ向から反発した。

記事初掲載:2022年2月11日

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 世界中で物議を醸した騒動の"当事者"が、自らの正当性を訴えている。

 問題となっているのは、2月7日に行なわれたスキージャンプの混合団体。日本の高梨沙羅ら4チーム計5選手にスーツの規定違反による失格を突き付けたマテリアルコントロール(道具のチェック)のアガ・ボンチフスカ審判員だ。

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 競技当日、ボンチフスカ氏は、太もも部分が規定最大許容差(女子は体からプラス2~4センチ)より2センチ大きかったと判断された高梨をはじめ、失格となった選手たちに、普段よりも厳しい判断を下したとされている。実際、2回目のジャンプ後に処分を言い渡されたシリエ・オプセット(ノルウェー)は、「全く異なる方法でスーツを測定していて、これまでとは違う方法で立つように言われた」と証言している。

 しかし、周囲の批判的な声にボンチフスカ氏は、真っ向から異を唱えた。母国の放送局『TVPSport』のインタビューで「あんなことが、オリンピックの舞台で起きるとは思わなかった」と回答したのだ。

「批判に対しては思うことはある。私はもっと各チームや選手がちゃんと準備をし、真剣に取り組むものだと捉えていました。でも、誰かが(規定より)10センチも大きいスーツでジャンプしていた場合に私はどうすべきでしょうか? 本当に勘弁してほしい! そんなのは、肉眼で見ても分かると思います。それでも、私たちが計測しなければならない事実は変わらない。結果として、紙に記載する数字が必要ですからね」
 
 さらに今回が10年以上を数える国際スキー連盟(FIS)での審判員キャリアで「心身ともに最も厳しいものだった」と振り返る彼女は、その心境を淡々と語っている。

「不幸にも、私たちの仕事は全然感謝はされない。とくに選手たちが失格になった場合はそうなる。簡単ではないし、楽しくもない。だけど、責任ある職員として競技が可能な限り公正であるよう、確実に遂行しなければならない」

 男子のマテリアルコントロール(道具のチェック)を担当したミカ・ユッカラ氏からは、「私は関係がない。失格はすべて彼女によって明らかにされたことだ」と指摘されるなど、苦しい立場にあるボンチフスカ氏。ジャッジの在り方を再考すべきという声は、日に日に強まっているなかで、ベテラン審判員は何を想うのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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