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F1の新たな問題「ポーポイズ現象」についてアルファタウリ首脳が見解。課題は「効果とリスクの妥協点を見出す」こと

THE DIGEST編集部

2022.03.01

新車の挙動を把握するには、まだまだ多くのテストが必要なようだ。(C)Getty Images

 2月23~25日にスペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで行なわれたF1合同テスト。新レギュレーションに対応した2022年型マシンでの初めて本格的な走行は、各チームに大きな問題を提起することとなった。

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 実に40年ぶりに「グラウンドエフェクトカー」が復活した。これはアンダーフロアに設けられた「ベンチュリトンネル」に空気を流すことでダウンフォースを得るというものだが、この空力のコンセプトにより、高速走行において車体が上下動する「ポーポイズ現象」が脚光を浴び、複数のチームでは走行やドライビングに支障を来すほどの問題となっている。

 大きな危険を伴うこの現象について、アルファタウリのテクニカルディレクターであるジョディ・エギントンは、「よく知られているものではあるが、実際に車がコースを走るまで、実際にその現象が起こるかどうかが分からない」と指摘する(モータースポーツ専門メディア『NEXTGEN-AUTO.com』より)。

 彼によれば、この現象を風洞実験において知ることは難しく、数値流体力学(CFD)によって空気の流れをコンピューターシミュレーションで可視化することが有効だというが、ベンチュリトンネルが路面に近接した際の空気の流れについては複雑さが増すこともあり、精度が低下するということで、実際に走ってみるしか、問題を理解することはできないのだという。

 この問題を修正するには、車高を上げることが最も有効であり、簡単な解決策となるが、そうなればグラウンドエフェクトカーとしてのパフォーマンスは低下することになり、エギントンTDは「問題を最小限に抑えるための、妥協点を見つけることが課題になる」と語る。
 
「グラウンドエフェクトカーにおいては、できるだけ車高は下げて最大限の空力の効果を得たいものだから、そうすると振動が生まれてしまう。我々は荷重を得たり失ったりする状況の中で、最大限のダウンフォースを得たいと考える。そのために、グリップを失うリスクとの妥協点を探ることになる」

「車高の他、燃料の積載量、風、路面のバンプと、車の挙動の相関関係を把握するために、まだ学ぶべきことがたくさんある」と指摘するエギントンTDは、しかし「ドライバーがうまく車をコントロールするために、何をするべきかは分かっている」として、この問題への対処には自信を窺わせた。

 また、解決策のひとつとして1993年限りで禁止となっているアクティブサスペンションの復活も検討されているというが、これについてエギントンTDは「そうすると、レギュレーションが大きく変わることになる。2年前にもアクティブサスペンションについては話し合われたが、これに移行しないことが決定されている」と否定的。「コスト面にも大きな影響を与えるため、我々は現在、これに取り組んではおらず、すぐに解禁になるとは思えない」との展望を示している。

 アルファタウリについては、合同テストではポーポイズ現象による問題は聞かれず、ピエール・ガスリー、角田裕毅の両ドライバーもこれに言及はしていないようだ。エギントンTDが言う空力の効果とリスクとの最良の妥協点を見つけ出し、新シーズンで最高のパフォーマンスを発揮することができるかが興味深い。

構成●THE DIGEST編集部

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