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「これは行き過ぎ」元五輪女王が相次ぐ“ロシア追放”に異論。母国の後輩たちを「政治に無関係。罪はない」と慮る

THE DIGEST編集部

2022.03.03

現役時代には、ロシア・フィギュア史に残る活躍を続けてきたナフカ。そんなレジェンドが、苦境にある母国のスポーツ界に対する持論を語った。(C)Getty Images

 余波が日々拡大しているロシアのウクライナに対する侵攻。スポーツ界においては、ロシアを排除する動きが強まっている。

 各競技でロシア、そして彼らを支援するベラルーシへの"制裁"が下されている。現地時間3月1日には、ISU(国際スケート連盟)もIOCの除外勧告を受諾。両国の選手と関係者を、3月21日からフランスで行なわれる世界選手権へ参加させない意向を示した。

 無論、一連の厳しい決定にはロシア国内で反発の声が上がっている。同国の女子フィギュア界のカリスマであるタチアナ・ナフカは、同国のスポーツ専門サイト『Sport Express』の取材で、「これは行き過ぎです。正直なところ言葉がありません」と異論を唱えた。

 彼女の実績は凄まじい。世界選手権連覇(2004年、2005年)の実績を引っ提げて臨んだ2006年のトリノ五輪のアイスダンスで優勝。金メダルを手にしてロシア・フィギュア界における絶対的な地位を築いた。

 引退後には後進の育成に励んだ46歳は、国際舞台への道を閉ざされた後輩たちの心境を慮る。「ありとあらゆる決定は信じられない」と語気を強めたナフカは、次のように論じた。

「今、ロシアのフィギュアスケーターたちが世界選手権に出ないことを、おそらくみんなが喜ぶものだと思っている。とにかく私は、いま起こっている全てのことがとても残念でならない。選手たちは政治に無関係で、なんの罪もない。それに将来のある子どもたちを思うと余計にショック。ロシアの選手たちはパラリンピックに出場するのも禁止されている。これは明らかにやりすぎで、信じられない」

 ロシア・スポーツ界の未来を語ったナフカ。今後も続くであろう母国への"制裁"に対しては、「この悪夢がもうすぐ終わると願いたい」とも語っているが、はたして……。

構成●THE DIGEST編集部

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