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「私に影響は全くなかった」五輪フィギュア女王シェルバコワが語った“ドーピング騒動”の余波「精神的に完璧だった」

THE DIGEST編集部

2022.02.27

充実感が溢れ出るパフォーマンスを披露したシェルバコワ。その出色の出来は、驚異的なメンタリティーがあってこそだった。(C)Getty Images

充実感が溢れ出るパフォーマンスを披露したシェルバコワ。その出色の出来は、驚異的なメンタリティーがあってこそだった。(C)Getty Images

 去る2月20日に閉幕した北京五輪での女子フィギュアスケートは、15歳の少女が大きくクローズアップされた。ロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワだ。

 大会前からシングルスの優勝候補だったワリエワ。しかし、団体戦が行なわれた直後に昨年12月の国内選手権で禁止薬物の陽性反応が検出されたと発覚。要保護とされる16歳未満や北京入国後の検査では陰性だった要素から、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、五輪への継続参加を認可したものの、壮絶なプレッシャーに苛まれた若き偉才は、シングルスで精彩を欠いた。

 ワリエワが4位となり、表彰台にも立てなかった。そんな15歳を尻目に栄冠を勝ち取ったのは、同胞のアンナ・シェルバコワ(ROC)だった。

「取り返しがつかなくならないように常にベストを尽くしていた」と大会後に明かした17歳は、堅実な構成を組んだショートプログラムで、上々の2位につける。そして勝負のフリースケーティングでは、4回転ジャンプ2本を含む高難度構成を滑り切り、逆転優勝を飾ったのだ。

 自身と同じくエテリ・トゥトベリーゼ氏の指導を受けるワリエワに、世界の視線が注がれるなかで、実力を発揮しきっての戴冠劇だった。では、シェルバコワは世間の喧騒に対するプレッシャーを感じていなかったのだろうか。ロシア・フィギュアスケート連盟のインタビューで、世界女王は次のように語った。
 
「まったく影響はなかった。もちろんコーチたちの状況は、準備やスケジューリングにかかわっていたから、ある程度の影響はあった。だけど、私は、最後の瞬間のために、とにかくシングルスに向けて、調整する必要があると感じていた」

 もっとも、一連のドーピング騒動によって、ROCに逆風が吹いていたのは、間違いない。しかし、シェルバコワは「常に感情を抑えて対応していた」と冷静に振り返っている。

「どう報道されようと、私のトレーニングには関係がないと思っていた。ミックスゾーン(取材エリア)でも、同じように無感情でやり過ごして、本当に落ち着いていた。私はシニアに出るようになって3年目で、いろんな大会に出てきたから、オリンピックに向けて経験ができていたんだと思う。とにかくストレスやショックとか、私を不安にさせるものは何もなかったし、それで演技のバランスを崩すようなことにもならなかった。精神的に完璧な状態で大会に臨めた」

 流されず、常に己を向き合い続けたというシェルバコワ。その精神面の強さこそが、彼女が金メダルを獲得できた最大の要因かもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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