格闘技・プロレス

入隊を決意したヘビー級ボクサーが母国の悲惨な状況に嘆き「誰も撃ちたくない。でも、いざとなれば選択肢はない」

THE DIGEST編集部

2022.03.04

イギリスからウクライナに戻ったウシク。彼は日々悪化しているという状況を嘆いた。(C)Getty Images

 ウクライナの英雄は、相当な覚悟をもって戦地を生きている。世界ヘビー級3団体(WBA、WBO、IBF)統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)だ。
【動画】銃を手にして、同僚たちと写真に納まるウシク

 先月24日から始まったロシア軍によるウクライナへの侵攻。日増しに状況は悪化していると報じられ、死傷者も増え続けている。そんな母国の苦境を受け、行動を起こしたのが、ウシクだ。

 侵攻が始まる直前に滞在先のイギリスから帰国した35歳は、オレクサンドル・ウシクやワシル・ロマチェンコといった他の同胞ボクサーたちと同じようにウクライナ軍の領土防衛隊に参加。武器を手に取って、暮らしている。

 彼のボクシング人生は実に輝かしいものがあった。2012年のロンドン五輪でヘビー級の金メダルに輝くと、2013年のプロ転向後も19戦全勝(13KO)と連勝街道を突き進んできた。まさにスーパースターと言える存在だ。

 数多のライバルを倒してきたウシクだが、ロシアの侵攻が続く母国の状況に悲痛な想いを抱えている。現地時間3月2日に米放送局『CNN』の取材に応じた35歳は、「最前線にいるわけじゃないが、銃を手にして、身構えるのは普通じゃない」と訴え、いつ訪れるかわからない"戦闘"への重い口を開いた。

「もしも、彼らが、俺や俺の家族や愛する人たちの命を奪おうとするなら、俺は対応しなければいけない。俺だってそんなことはしたくない。銃も撃ちたくないし、もちろん誰も殺したくない。でも、彼らが俺や家族を殺すつもりになったら、他に選択肢はない……」

 続けざまに「感傷的に聞こえるかもしれないけど、不思議と恐れはない」と強調したウシクは、「あるのは戸惑いだけだ。21世紀にもなって、どうしてこんなことが起こるのか」と世界にメッセージを発信した。

構成●THE DIGEST編集部

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