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「小指の骨折くらいならやりなさい!」コストルナヤの“トゥトベリーゼ組離脱”は指導陣の事実誤認も影響か

THE DIGEST編集部

2022.03.04

2度の骨折から復帰したコストルナヤ。18歳の新天地での巻き返しに期待したい。(C)Getty Images

"鉄の女"と謳われるロシア・フィギュアスケート界の大物コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏。北京五輪・女子シングルでは自身が主宰する「サンボ70」の教え子たちが躍動した。
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 アンナ・シェルバコワが金メダル、アレクサンドラ・トゥルソワが銀メダルに輝き、ドーピング問題に揺れたカミラ・ワリエワも4位で大会を終えた。加えて、ペア種目で銀メダルのエフゲニア・タラソワ&ウラジーミル・モロゾフ組も彼女の門下生である。

 だが、栄光に彩られたはずの北京五輪は、トゥトベリーゼ氏のイメージを失墜させる大会ともなった。フリー演技終了後のワリエワに投げかけた言葉が叱責したように誇張され、パニックになったトゥルソワにはハグを拒否されてしまう。過去の厳しい指導方法などの告発が次から次へと暴露され、すっかりダーティなレッテルが定着した印象だ。

 そんななか、現地3月2日に驚きのニュースが飛び込んできた。シェルバコワ、トゥルソワとともに"ロシア3人娘"を形成していたアリョーナ・コストルナヤがトゥトベリーゼ氏の元を去り、エレーナ・ブヤノワ氏が率いる「CSKA」に移籍して、すでに練習をスタートさせていると発表したのだ。
 

 2019―20年シーズンにグランプリファイナルと欧州選手権で頂点を極めた出世頭は、2020―21シーズンを前にも一度、トゥトベリーゼ氏と袂を分かって、エフゲニー・プルシェンコ氏が指導する「エンジェルス・オブ・プルシェンコ」に移籍している。だがパフォーマンスは低調で結果も残せず、ロシア選手権で6位に終わると一大決心。プライドを捨ててトゥトベリーゼ氏に謝罪し、復帰を果たした。

 北京五輪を目標に据えた今シーズン。しかしコストルナヤは新型コロナウイルスの後遺症とも闘いながら、懸命にトップフォームを取り戻そうと奮闘したがピリっとしない。12月中旬に右手の指2本を骨折してしまい、ロシア選手権への出場を断念。北京五輪への道を閉ざされ、今年2月に入って練習を再開させたが、今度は左手首を骨折してシーズン終了を宣言した。

 コストルナヤ自身が「サンボ70」での競技続行を望んだかどうかは定かでないが、今回の移籍報道を受けて、彼女のインスタグラムには理由を知りたいファンから質問が殺到。なかには誹謗中傷に近いものもあり、たまりかねたコストルナヤは「私にイニシアチブ(主導権)はありませんでした。決めたのはエテリ・ギオルギエブナ(トゥトベリーゼ)です」と短いメッセージを寄せた。つまり、恩師から非情な戦力外通告を受けたということだ。
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トリプルアクセルの完全復活。その条件をクリアできないままに…