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「私はいじめられる犬だった」新体操の元世界女王が衝撃告白。ロシアの“勝利至上主義”の闇が明るみに

THE DIGEST編集部

2022.03.13

ロシアの新体操界の名伯楽と言われるシュテルバウム氏(左)。彼女に師事したカナエワ氏(右)は、当時の壮絶体験を語った。(C)Getty Images

ロシアの新体操界の名伯楽と言われるシュテルバウム氏(左)。彼女に師事したカナエワ氏(右)は、当時の壮絶体験を語った。(C)Getty Images

 ロシア・スポーツ界の抱える“闇”は根深いものがある。

 先月に開催された北京五輪後には、フィギュアスケートのROC(ロシアオリンピック委員会)代表に多くの門下生を抱えたエテリ・トゥトベリーゼ氏の行き過ぎた指導が次々と明るみになり、同国の方針に批判的な声があがった。

 問題となっているのは、フィギュア界だけではない。新体操界からも気になる証言が飛んだ。現地時間3月10日に、ロシアのYouTubeチャンネル『More Sports』で「私はみんなにいじめられる犬みたいだった」と語ったのは、エフゲニア・カナエワ氏だ。

 カナエワ氏は、2008年の北京、そして12年のロンドン五輪で、女子個人総合金メダルを手にした新体操界のレジェンドだ。ロンドン五輪後に引退を決意した31歳は、現役時代に課せられていた厳しい指導の内幕を告白した。

「どんなに頑張っても、監督やコーチからは、『あなたは努力が足りない』といつも言われていた。今となっては一生懸命によく頑張ってきたと思えるけど、当時は辛くてわざと怪我をすることもあった」

 18歳で初めて出場した2008年の北京五輪後には、当時のベラ・シュテルバウム氏から「あなたはたまたま勝った。それに若いから勝てただけ」と言われたというカナエワ氏は、「感情をコントロールできなくなることもあった」と続けた。

「ちょっとでも、何かできないことがあるとパニックになることがあった。自分自身を傷つけたりしてコーチたちに対する言い訳を作ったりした」

 引退してからは指導者に転身。日夜、後進の育成に励んでいるというゴールドメダリストは、「スポーツから一度離れてみて、私は色々と気づいた」と語り、「あの時のシュテルバウムは今の私ほど選手に、親身になって力を注いでいなかった」と皮肉交じりのコメントも残した。

 栄光に彩られたカナエワ氏のキャリア。しかし、その裏で彼女を苦しめた壮絶な指導の数々は、勝利至上主義の弊害と言えそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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