「こんな競技は嫌い! もう二度と氷の上には戻らない」
先月20日に閉幕した北京五輪の女子フィギュアスケート・シングルで、銀メダルを獲得したROC(ロシア・オリンピック委員会)のアレクサンドラ・トゥルソワが発した叫びは、驚きとともに世界に広まった。
ショートプログラムで4位と出遅れ、フリースケーティングでの逆転優勝を狙った17歳は、4回転ジャンプ5本という高難度構成に挑戦。見事に5本とも着氷させる演技を披露し、本人を含めて誰もが高得点を信じて疑わなかった。
しかし、総合スコアで同胞アンナ・シェルバコワに1・38点だけ及ばず。技術点(106・16)だけでみれば、男子シングルの羽生結弦(99・62点)、宇野昌磨(96・24点)を上回っていただけに、トゥルソワは荒ぶった。そしてコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏とのハグを拒否し、先述の言葉を吐き捨てたのである。
若さゆえの過ちと言えるかもしれない。しかし、ロシア国内では、冷静さを欠いた逸材に非難が殺到。とりわけ識者たちから厳しい声が投げかけられている。去る2月28日には、公共放送『RT』のインタビューに応じたトリノ五輪のペアで金メダルを獲得したマキシム・マリニン氏は、後輩に向けて、辛辣な言葉を寄せた。
「サーシャ(トゥルソワの愛称)は、私の知る限り、全く制御不可能で、予想のできない選手だ。彼女は若さと才能と内なる情熱を抱えているから、コーチの言うことを聞こうとしない」
特大のポテンシャルを秘めるティーンエージャーの勢い任せなスタイルに、苦言を呈したマリニン氏。だが、それは期待の裏返しでもある。元五輪王者は、こうも続けている。
「もっとコーチが、彼女の望んでいることを理解してあげたらいいのかもしれない。この北京オリンピックでも、2つの4回転ジャンプとともに計画的にシーズンを始めて、徐々に4回転の本数を増やしていたら、コンディションは五輪でピークに達し、金メダルを手にできていたかもしれないね」
失意の北京五輪を終え、母国の通信社『TAS』のインタビューで「オリンピックはハードだった。だから少しの間、待ちたいと思います。上手く行けば、次のオリンピックに向かうかもしれません」と語ったトゥルソワ。その動向は、大いに注目を集めそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
先月20日に閉幕した北京五輪の女子フィギュアスケート・シングルで、銀メダルを獲得したROC(ロシア・オリンピック委員会)のアレクサンドラ・トゥルソワが発した叫びは、驚きとともに世界に広まった。
ショートプログラムで4位と出遅れ、フリースケーティングでの逆転優勝を狙った17歳は、4回転ジャンプ5本という高難度構成に挑戦。見事に5本とも着氷させる演技を披露し、本人を含めて誰もが高得点を信じて疑わなかった。
しかし、総合スコアで同胞アンナ・シェルバコワに1・38点だけ及ばず。技術点(106・16)だけでみれば、男子シングルの羽生結弦(99・62点)、宇野昌磨(96・24点)を上回っていただけに、トゥルソワは荒ぶった。そしてコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏とのハグを拒否し、先述の言葉を吐き捨てたのである。
若さゆえの過ちと言えるかもしれない。しかし、ロシア国内では、冷静さを欠いた逸材に非難が殺到。とりわけ識者たちから厳しい声が投げかけられている。去る2月28日には、公共放送『RT』のインタビューに応じたトリノ五輪のペアで金メダルを獲得したマキシム・マリニン氏は、後輩に向けて、辛辣な言葉を寄せた。
「サーシャ(トゥルソワの愛称)は、私の知る限り、全く制御不可能で、予想のできない選手だ。彼女は若さと才能と内なる情熱を抱えているから、コーチの言うことを聞こうとしない」
特大のポテンシャルを秘めるティーンエージャーの勢い任せなスタイルに、苦言を呈したマリニン氏。だが、それは期待の裏返しでもある。元五輪王者は、こうも続けている。
「もっとコーチが、彼女の望んでいることを理解してあげたらいいのかもしれない。この北京オリンピックでも、2つの4回転ジャンプとともに計画的にシーズンを始めて、徐々に4回転の本数を増やしていたら、コンディションは五輪でピークに達し、金メダルを手にできていたかもしれないね」
失意の北京五輪を終え、母国の通信社『TAS』のインタビューで「オリンピックはハードだった。だから少しの間、待ちたいと思います。上手く行けば、次のオリンピックに向かうかもしれません」と語ったトゥルソワ。その動向は、大いに注目を集めそうだ。
構成●THE DIGEST編集部