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「言葉を失いました」ウクライナ出身の五輪女王が「Z」マーク着用のアスリートを批判!故郷の窮状も憂う

THE DIGEST編集部

2022.03.25

ドイツ代表として出場した平昌五輪で、ペアの女王に輝いたサフチェンコ氏。故郷を思いインタビューに答えた。(C)Getty Images

 平昌五輪フィギュアスケートのペアで金メダリストになったアリオナ・サフチェンコ氏が「Z」マークを示した選手らに怒りを滲ませた。

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が深刻さを増していた今月18日、モスクワのルズニキ・スタジアムで開催された「クリミア併合8周年記念コンサート」には、北京五輪のアイスダンスで銀メダルを獲得したヴィクトリヤ・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフ組ら著名なアスリートらが参加。その多くが「Z」マークの上着を着用していた。

 このマークは、ロシア軍の戦車や車両に描かれていることから、ウクライナへの侵攻を支持するシンボルとして認知されている。それだけにウクライナ出身でドイツ代表として活躍したサフチェンコ氏は、欧州衛星局『EUROSPORT』で「それを見たとき言葉を失いました。自分の目を疑いました」と悲痛な想いを吐露。そして、こう続けた。

「ウクライナとロシアの間で起きていることは、とても痛ましいこと。子どもたちや人々が死に国が破壊されていく大惨事です。そしてアスリートたちはそれを祝福し、このイベントをサポートしているのです。非人道的です。彼らが自発的に行なったかどうかは分かりません。そうせざるを得なかったという噂もあります。でも残念ながら、評価することはできません」

 生まれ故郷であるウクライナには、今もなお親戚や友人らが暮らしている。そんなサフチェンコ氏は、東部のマリウポリ周辺で生活する親戚から「月曜日に悪い知らせを受けた」とも明かした。
 
「17歳の親戚が負傷しました。他の家族は地下室にいますが、外に出られていない。そこにも食べ物はありません。あと数日この状況が続けば、食料不足で彼らは死んでしまう」

 ウクライナ情勢を受け、多くのスポーツイベントではロシアを締め出す動きが強まっている。それだけに同放送局が「今後、ロシア人選手にどの様な制裁を科すべきか」と問うと、38歳の名手は、「10年や20年出場停止処分ですかね」とアイディアを提示。だが、直後に「難しい話ですね。今でもそうですが、私たちは多くのロシア人選手と友人です。このような状況は、人々の憎しみを増すものになっている」と嘆いた。

 罪のない人々を巻き込み、多くの人から幸せを奪い取っている戦争。一刻も早く平和な日常を取り戻してほしいものだ。

構成●THE DIGEST編集部

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