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「正直がっかりした」トランスジェンダー女子競泳選手にライバルスイマーは異論! 「境界線は必要」と公平性を求める

THE DIGEST編集部

2022.03.26

学生大会ながら全米を制したトーマス。だが、トランスジェンダーである彼女の優勝は小さくない波紋を広げている。(C)Getty Images

 アメリカ水泳界でのあるレースが小さくない話題となっている。今月17日に開催された全米大学選手権の女子500ヤード(約457メートル)自由形だ。

 渦中の身となっているのは、男性から女性に性転換したトランスジェンダー選手のリア・トーマスだ。現在ペンシルバニア大学に通う23歳は、同レースで昨夏の東京五輪で銀メダルを獲得したエマ・ワイアントを退けると、同五輪の金メダリストでもあるケイティ・レデッキーが作った学生記録に9秒差に迫る4分33秒24でタイトルを掴んだのだ。

 トランスジェンダー選手としては初の大会制覇だ。それだけに、この歴史的偉業には賛辞が送られるとともに、批判的な声も上がった。とりわけ根本的な筋肉量が多いトーマスとの不利な戦いを強いられる女子選手たちのなかには、異議を唱える者もいる。

 同大会の200ヤード(約182.88メートル)自由形でトーマスと対戦し、5位に終わっていたケンタッキー大学のライリー・ゲインズも異論を口にする一人だ。米紙『Daily Wire』の取材に応えた彼女は、次のように競技を振り返っている。

「正直に言って、がっかりしたのは事実。私は1年間、この大会で表彰台に上がるために、練習を重ねていたから。だから、トロフィーも得られないままにプールを去るのは納得できなかった」

 もっとも、ルール上では規定に反していない。トーマスはNCAA(全米大学スポーツ協会)が設けるホルモン量の問題もクリアしている。ゆえにゲインズは「私はリア個人を責めるつもりはないわ」と語り、ハッキリと問題点を指摘している。

「私はリアの水泳キャリアを全面的に支持してる。彼女が一生懸命に努力をしてきたのは間違いないし、NCAAの定めた規定を守っているだけ。だけど、それ(規定)が問題なのよ。リアが泳ぐために設けられたルールが残りの90~95%ぐらいのスイマーたちが影響を受けているのも事実。それを改善しなければいけないと思う。NCAAにはこれから明確な打開策を打ち出してほしい。現時点で私が気に入らないのは、すべての生物学的女性に背を向けて、少数派だけをなだめるように振る舞ったこと」

 記事の最後には「スポーツをする女性たちのためにも、なんらかの境界線になり得るルールは作ってほしい」と訴えたゲインズ。はたして、公平性を求める彼女の声は、物議を醸す問題解決に一石を投じるものとなるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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