ホームリングで迎えた最後の闘いは"親子喧嘩"だった。
4月2日、RISEのビッグマッチである国立代々木競技場第一体育館大会。そのメインに出場したのは那須川天心だ。ボクシング転向が決まっている彼にとっては、RISE卒業マッチだった。
【RISE PHOTO】神童・那須川天心のRISEラストマッチを厳選ショットで一挙紹介!
RISEは那須川がプロデビューした場所であり、いわばホームだ。その最初の試合は2014年7月の『RISE100』大田区総合体育館大会。デビュー戦から100回記念のビッグマッチに抜擢された事実が、今も揺るがぬ彼に対する期待の高さを物語った。
対戦した有松朝はバンタム級のランカー。あらゆる意味で破格のデビューだ。しかもこの試合、那須川は1ラウンドKO勝利を収めている。タイトル獲得は翌年5月。キャリアわずか6戦目で達成した。
複数の団体が組んで立ち上げた『BLAE』のトーナメントで優勝、ヒジ打ちありの『KNOCK OUT』では現役ムエタイ王者を倒し、さらにRIZINではMMAにも挑戦。那須川はファンを驚かせ、喜ばせ続けた。そんなキャリアの中心軸がRISEだったと言えるだろう。
世界トーナメント優勝に加え、ここ数年はコロナ禍にあって、志朗、鈴木真彦といったシビアな日本人の挑戦をはね返し続けた。適正体重の55キロである那須川の"本質"が見られる舞台はRISEだった。
そんなRISEでの最後の試合で迎え撃ったのは、風音だ。昨年に強豪を次々と下す番狂わせの連続で53キロのトーナメントで優勝した23歳の若武者である。
そのトーナメントの表彰式で、風音は那須川に対戦を求めた。自分のほうが階級は下、しかも同じジムの所属。やりづらさはあったが、「世界一強い男と闘いたい」という気持ちが抑えきれなかったのだ。
熱い思いを那須川も受け止め、RISEラストマッチでの対戦が決した。風音のセコンドには、ジムの会長で那須川の父、那須川弘幸氏がついた。幼少期から練習、自分を知り尽くしている父が"敵側"につく――。風音の成長だけでなく、この親子喧嘩という要素も、ラストマッチには重要だった。
実際、試合は大苦戦となった。那須川はいつものような柔らかい動きを欠いた。逆に風音は積極果敢に動き、痛烈な攻撃をヒットする場面もあった。決定的な場面こそなかったものの、大善戦だと言える。3ラウンドを終えての判定は2-0。那須川が勝つには勝ったが、むしろ、株を上げたのは風音だったのではないかと思える試合だった。
4月2日、RISEのビッグマッチである国立代々木競技場第一体育館大会。そのメインに出場したのは那須川天心だ。ボクシング転向が決まっている彼にとっては、RISE卒業マッチだった。
【RISE PHOTO】神童・那須川天心のRISEラストマッチを厳選ショットで一挙紹介!
RISEは那須川がプロデビューした場所であり、いわばホームだ。その最初の試合は2014年7月の『RISE100』大田区総合体育館大会。デビュー戦から100回記念のビッグマッチに抜擢された事実が、今も揺るがぬ彼に対する期待の高さを物語った。
対戦した有松朝はバンタム級のランカー。あらゆる意味で破格のデビューだ。しかもこの試合、那須川は1ラウンドKO勝利を収めている。タイトル獲得は翌年5月。キャリアわずか6戦目で達成した。
複数の団体が組んで立ち上げた『BLAE』のトーナメントで優勝、ヒジ打ちありの『KNOCK OUT』では現役ムエタイ王者を倒し、さらにRIZINではMMAにも挑戦。那須川はファンを驚かせ、喜ばせ続けた。そんなキャリアの中心軸がRISEだったと言えるだろう。
世界トーナメント優勝に加え、ここ数年はコロナ禍にあって、志朗、鈴木真彦といったシビアな日本人の挑戦をはね返し続けた。適正体重の55キロである那須川の"本質"が見られる舞台はRISEだった。
そんなRISEでの最後の試合で迎え撃ったのは、風音だ。昨年に強豪を次々と下す番狂わせの連続で53キロのトーナメントで優勝した23歳の若武者である。
そのトーナメントの表彰式で、風音は那須川に対戦を求めた。自分のほうが階級は下、しかも同じジムの所属。やりづらさはあったが、「世界一強い男と闘いたい」という気持ちが抑えきれなかったのだ。
熱い思いを那須川も受け止め、RISEラストマッチでの対戦が決した。風音のセコンドには、ジムの会長で那須川の父、那須川弘幸氏がついた。幼少期から練習、自分を知り尽くしている父が"敵側"につく――。風音の成長だけでなく、この親子喧嘩という要素も、ラストマッチには重要だった。
実際、試合は大苦戦となった。那須川はいつものような柔らかい動きを欠いた。逆に風音は積極果敢に動き、痛烈な攻撃をヒットする場面もあった。決定的な場面こそなかったものの、大善戦だと言える。3ラウンドを終えての判定は2-0。那須川が勝つには勝ったが、むしろ、株を上げたのは風音だったのではないかと思える試合だった。