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格闘技・プロレス

那須川天心戦までにもっと強くなる――。K-1戦士の“魂”を再確認した武尊の「試行の4分間」が持つ意味

橋本宗洋

2022.02.28

軍司と拳を交えた武尊。時折、笑顔を浮かべながら戦った30歳は「やる意味はあった」と一定の満足感を示した。写真:田中研二

軍司と拳を交えた武尊。時折、笑顔を浮かべながら戦った30歳は「やる意味はあった」と一定の満足感を示した。写真:田中研二

「K-1、最高!」

 2月27日に行なわれたK-1東京体育館大会で、フェザー級チャンピオンである軍司泰斗とのエキシビションマッチを終えた武尊は力強くリングで叫んだ。
【動画】意地と意地のぶつかり合い! 武尊vs軍司の殴り合いシーンをチェック

 6月に開催される大一番、那須川天心戦に向けて、武尊は「1試合挟みたい」と希望し、この一戦は実現した。彼が最後に試合をしたのは昨年3月。ケガでリングから離れていただけに、試合勘やトレーニングのピーク作りの面でもメリットのある試合だった。

 対する軍司は22歳。“K-1の申し子”とも呼ばれ、これからのK-1を引っ張っていく中心選手の1人だ。そんな実力派との対戦は、K-1代表として那須川と対戦するという意味でも重要だった。武尊にとって、この大会はK-1ファイターとしての“魂”を再確認するような舞台だったのではないだろうか。

 那須川戦は前日計量58キロ、当日は「4キロ戻し」で62キロがリミットになる。現在の武尊は60キロのスーパー・フェザー級でベルトを巻いているため、通常よりも減量を余儀なくされる。今回の軍司戦に向け、武尊は62キロ以下に仕上げた。前日計量こそなかったが、水抜きも試したという。6月に向けての予行演習といえばいいだろう。

「やってみて、課題は残りましたね。でも、それに気づけてよかった。落とすだけならいくらでも落とせるんですけど、動ける身体をキープして、水抜きのダメージを残さないようにリカバリーしないといけない」
 
 取り組んでみて判明した課題はある。しかし、それを修正すれば、より強い状態で那須川とも闘える。今回は大会前日の“バキバキ”な肉体も話題になったが、武尊のコンディションには、さらに“上”があるのだ。

 あくまで本番は6月。このエキシビションでは、ケガをしないようにという意識もあった。とはいえ両者とも攻撃は鋭く、武尊はいつもの試合と同じように躊躇なく前進してパンチを振るった。ロープ際に追い込んでの連打に、軍司も負けじと打ち返して激しい撃ち合いになるシーンもあった。

 お互いの気持ちが噛み合った2分2ラウンド。武尊は「今回は軍司選手と闘うことに意味があった」と言う。パンチをもらうこともあったが、それが現K-1王者の実力だろう。K-1を支えてきたカリスマも、その力を認めていた。

 武尊が那須川戦に向け、サウスポー対策に打ち込んできたため、オーソドックスの軍司の目が慣れていなかった部分もある。加えて、“もらいながらも前に出る”のが武尊の真骨頂でもある。ゆえに打ち込まれるシーンも目立った。

 だが、倒される覚悟で倒しにいく。それこそが武尊のファイトスタイルだ。納得の内容ではなかったが、らしい闘いではあった。完璧な闘いは、6月に見せればいい。
 
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