格闘技・プロレス

“世界最強の男”は「想像よりも違った」。悔しい敗戦後に村田諒太が漏らしたゴロフキンの凄みとは?

THE DIGEST編集部

2022.04.09

ゴロフキンが「素晴らしい。本当にありがとう」と語るほどの激闘を演じた村田。彼は眼前に立ちはだかった“偉才”をどう見ていたのか。(C)Getty Images

"史上最強の男"を追い込んだ。4月9日、さいたまスーパーアリーナで、ボクシングIBFミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との大一番に臨んだWBA同級スーパー王者の村田諒太だ。

 戦前の下馬評を覆す健闘ぶりだった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって2年4か月ぶりの実戦となった村田だったが、序盤から積極果敢に攻勢を強めると、左ボディーを徹底的に攻め抜いた。
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 序盤戦は村田が優勢だったのは、闘いの最中に苦しそうな表情を浮かべたゴロフキンが試合後に「スーパー王者にふさわしいものだった」と認めるところだ。しかし、プロキャリア通算42勝を誇る百戦錬磨の戦士は、ここからが凄かった。5回に間合いを詰めてスタンスを変えると、徐々に疲労の色が濃くなっていった相手のガードを打ち壊すようなジャブとストレートのコンビネーションを浴びせ、主導権を握り返したのだ。

 完全に前に踏み出せなくなった村田がロープ際に追い込まれるようになった9回には、ゴロフキンが渾身の一撃を炸裂。すると、36歳のサムライは力なく膝から崩れ落ち、セコンドから無念のタオルが投げ込まれた。

 キャリアにおけるKO率83.7を誇る猛者の脅威的な強さを目の当たりにした。では、実際に対峙した村田は何を想っていたのか。試合後のフラッシュインタビューに応じた際に彼は、こう語った。

「想像していたものと違うものを感じた。自分が思っていたよりも凄いなという点とこれは結構いけたという点とかがあった。でもやっぱり、総合力。やっていてパンチの角度とかで上をいかれているなと感じた」

 もっとも、ゴロフキンに苦悶の表情を滲ませる激闘を演じた村田に悔いはない。「拍手をいただけること、すごくうれしい」と振り返り、次のように言葉を絞り出した。

「2年4か月も試合をしてないのに、ここでゴロフキン選手とできるなんて、こんなラッキーな男はいないと思う。本当にデビューの時から追いかけてきたチャンピオンとこうして試合をできたことをすごくうれしく思う。本当にありがとうございます」

 惜しくも歴史的な大番狂わせには、あと一歩及ばなかった。しかし、ゴロフキンを追い詰める奮闘ぶりは、世界に十分すぎる驚きと興奮を提供したはずだ。

構成●THE DIGEST編集部

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