ゴルフ

たかが14位、されど14位――調子が悪い中でも松山英樹が見せたディフェンディングチャンピオンとしての“意地”

山西英希

2022.04.12

優勝のシェフラー(右)にグリーンジャケットを授与した松山(左)。前年王者として臨んだ今年のマスターズを振り返る。(C)Getty Images

 史上4人目の大会連覇を狙い、今年の『マスターズ』に挑んだ松山英樹(LEXUS)。結果からいえば、優勝したスコッティ・シェフラー(アメリカ)から12打離れた通算2オーバー・14位タイに終わり、偉業達成はならなかった。

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 松山自身は「もう少し優勝争いに絡みたかったなと思います」と、悔しげな表情を浮かべていたが、この結果を残念に思うか、健闘したととらえるかは人によって異なるだろう。しかし、客観的に見れば、大健闘と言えるのではないだろうか。

 今回、松山には明らかなマイナス要素があった。3月第1週に開催された『アーノルド・パーマー招待』で首から肩甲骨にかけての部分を痛め、それ以降の試合に出場していなかったことだ。

 中3週空けて、前週大会の『バレロテキサスオープン』に出場したが、2日目の前半を終えた時点で棄権している。それもあって、『マスターズ』優勝予想では、トップ20に名を連ねることができなかった。

 もっとも、優勝した昨年の予想でもトップ20を外れているし、今年の優勝予想ナンバーワンのブルックス・ケプカ(アメリカ)は予選落ちしているので、当てにならないものではある。ただ、大会前の下馬評がそれだけ低かったことは間違いない。

 幸いなことに、本戦に入ってからは懸念された痛みを感じることもなく、フルショットできたという松山。それを証明すると同時に、ディフェンディングチャンピオンとしての意地を見せたのが、強風のなかで行なわれた2日目のプレーだ。

 4バーディ・1ボギーの「69」で回り、通算3アンダーまでスコアを伸ばすと、首位と5打差ながらも2位タイで予選通過。「ショット、パットがよくない中、いいゴルフができたと思います」と振り返っていたが、フルショットできるようになったとはいえ、例年よりもスイングが抑え気味だった。

 ましてや試合勘が薄れ、オーガスタナショナルGCでは生命線とも言えるショートゲームに多少は不安が残っていたはず。その中で連覇を期待させる位置にまで順位を上げてきたことはさすがとしか言いようがない。
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攻めの姿勢を貫いた最終日のプレー