専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
ゴルフ

たかが14位、されど14位――調子が悪い中でも松山英樹が見せたディフェンディングチャンピオンとしての“意地”

山西英希

2022.04.12

 残念ながら勝負を賭けた3日目に「77」とスコアを崩したが、注目すべきは最終日のプレーだ。首位と11打差あったものの、松山の表情に上位進出をあきらめた雰囲気はなかった。「65」「66」のビッグスコアを出すことしか考えておらず、積極的にピンを狙いにいったという。

 成功すればバーディラッシュになるが、一つ間違えれば難しいアプローチが残りやすく、ボギートレインに乗ってしまう危険もある。こうしたことを頭に入れたうえで、スタートの1番からピンをデッドに攻めたものの、バーディパットは決まらなかった。

 続く2、3番ではアプローチも寄らずにボギーを叩いたが、松山は怯まない。あくまでも攻めの姿勢を貫き、4、5番でバーディを奪い返した。結局、5バーディ・5ボギーの「72」でホールアウトとなったが、一つ間違えればこの日「64」をマークしたローリー・マキロイ(北アイルランド)のような内容になっていたかもしれない。

 もちろん勝負事にタラレバは禁物だが、そう期待せざるを得ない何かが最終日のプレーには見られた。

 優勝を狙う準備としては不十分だったかもしれないが、それを言い分けにせず、最後まで攻め続けた松山。その姿は、ディフェンディングチャンピオンとしての威厳すら感じさせた。だからこそ、最終18番ホールを上がってくる松山に対し、グリーンを囲んだ大勢のパトロンがスタンディングオベーションで出迎えたのではないか。

“たかが14位”と思う人もいるだろう。しかし、コンディションが悪い中、攻めの姿勢を崩さずに得た14位というポジションは讃えられてもおかしくない。メジャーでトップ15に入ることがどれだけ尊いか。残り3試合のメジャーにも十分つながる、“されど14位”なのだ。

文●山西英希 
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

【関連記事】「なんて素晴らしい瞬間」松山英樹を支えた名キャディの行動が米メディアで大反響!「スポーツ界の心を虜に」

【関連記事】「ウッズさえやったことがない」松山英樹のスーパーショットに米絶句!3番ウッドでの妙技は「常軌を逸している」

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号