格闘技・プロレス

カネロとのリマッチは「危険」? 米紙が村田諒太戦の出来からゴロフキンを分析「40歳の己と向き合う必要がある」

THE DIGEST編集部

2022.04.16

村田をパンチの質と力で凌駕したゴロフキン。そのパフォーマンスをもってしてもカネロ戦に向けては厳しい声が飛んでいる。(C)Getty Images

 百戦錬磨の強者が見せつけた復活劇はいまだ反響が続いている。4月9日にさいたまスーパーアリーナで行なわれたボクシングWBAスーパー、IBF世界ミドル級王座統一戦で、村田諒太(帝拳)を下したゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)のパフォーマンスだ。
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 まさに激闘だった。序盤に執拗にボディーを突いてくる村田の圧力に苦戦したGGG(ゴロフキンの愛称)だったが、5回途中に間合いを詰めてペースを変えると、一気に主導権を奪取。続く6回からは「総合力で上だった」(村田談)。

 老獪なパンチワークで相手を翻弄すると、徐々に疲労の色が濃くなる村田を尻目に、攻勢を強め続けて、9回には怒涛のラッシュを炸裂。これに日本人チャンプが力なく膝をついて倒れると、敵陣営からタオルが投げ込まれた。

 土壇場で地力を見せつけたカザフスタンの英雄の奮闘ぶりには、多くの海外メディアから賛辞が送られた。一方で今年9月の開催が囁かれる4階級王者のサウル・アルバレス(メキシコ)とのビッグマッチに向けては不安の声も小さくない。

 とりわけカネロ(アルバレスの愛称)戦に、より強い危機感を煽るのは、米紙『LA Times』だ。この村田戦でのゴロフキンについて「勝利の女神が微笑んだのは、5回に渾身の右を当て込んでムラタのマウスピースを吐かせてからだ。彼にとってムラタは、カネロ戦に向けては理想的な相手とは言い難いほど強かった」と手厳しくレポートしている。

 また、村田の出来について「ボディーを執拗に捉えながら、GGGを押し返していた。序盤戦のゴロフキンのディフェンスする腕は明らかに重かった」と称えた同紙は、ゴロフキンのカネロ戦への課題をまとめている。

「GGGは、もはや伝統的と言えるパンチ量で、ムラタを少しずつ萎縮させ、最終的に倒した時には、もう相手はフラフラの状態になっていた。ただ、GGGは40歳になった己と向き合う必要性があるかもしれない。勝利という目標こそ達成したが、カネロとの前回対戦で判定に対して誰もが『もう少し報われるべき』と願った強きファイターとはほど遠い存在感だった」

 もしも、カネロ戦が実現すれば、約4年ぶりのリマッチだ。しかし、同紙は「カネロは31歳で体調や技術面などは最盛期にある。GGGは非常に重たいダメージを負う可能性もある」と強調。そのうえで「この闘いはゴロフキンにとって最善のものではなく、大きな危険をはらんだものになる」と断じた。

 はたして、世界が熱視線を送るであろう大一番は実現するのか。村田の今後を含めて引き続き注目していきたい。

構成●THE DIGEST編集部

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