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格闘技・プロレス

大物ゴロフキンが勝利を引き寄せた「ターニングポイント」の一発とは? 村田諒太とのビッグファイトを分析する

杉浦大介

2022.04.11

試合後もリング上で健闘を称え合っていたゴロフキン(奥)と村田(手前)。(C)Getty Images

試合後もリング上で健闘を称え合っていたゴロフキン(奥)と村田(手前)。(C)Getty Images

 序盤3、4ラウンドくらいまで、世界中を震撼させる大番狂わせの期待をほのかに抱いたファンは少なくなかったのではないか。

【動画】「あなたはチャンプだ」ゴロフキンが村田にガウンを渡したシーンをチェック

 4月9日、さいたまスーパーアリーナで開催されたWBAスーパー、IBF世界ミドル級タイトル戦。一部から“日本ボクシング史上最大の一戦”と称されたビッグファイトだが、主役の1人であるIBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)は序盤ラウンド、明らかに動きが重かった。

 全盛期に17連続KO防衛を果たした怪物チャンピオンも、試合前日の8日で40歳。しかも前戦から1年4か月のブランクが空いたとすれば、多少なりとも錆びつきを見せたとしても不思議はなかったのだろう。

 一方、村田諒太(帝拳)の方も実に2年4か月振りのリングながら、序盤戦は好調に見えた。大舞台でも気後せずに前に出て、重そうな右パンチとボディブローをヒット。ゴロフキンは明らかにボディを嫌がっており、公式採点でも2、3回は2人のジャッジが村田の10ー9とつけていた。この頃には、アメリカでも少なからずのファン、関係者がSNS上で「GGG(トリプルジー/ゴロフキンの愛称)は大丈夫なのか」と騒ぎ立て始めていた。

 ところが――。身体も徐々に温まった中盤以降、一時はミドル級史上でも最高峰と評価された王者はその真価を誇示し始める。6回、鋭い右で村田のマウスピースを弾き飛ばした一撃は強烈。『DAZN USA』の解説を務めた元世界王者のクリス・アルジェリは、このパンチを「試合のターニングポイント」と評した。

 実際にこのあたりからリズムが良くなったゴロフキンは、以降、絶妙にアングルを変えながら様々なパンチをヒットしていく。フットワーク、パンチのキレも徐々に向上した。得意のジャブ、右強打だけでなく、村田の高いガードをすり抜けて打ち込む左フックが有効で、高確率で強打を決めていった。

 村田の健闘も本物だったが、攻撃の分厚さ、総合力ではやはり差があったということ。ゴロフキンの的確な攻勢の前に、村田は徐々に手が出なくなっていった。そんな流れを辿ったがゆえに、9回、主に右パンチを打ちこんでの強烈なフィニッシュも必然の結末に思えたのだった。
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