まず最初に述べておきたいのは、ノニト・ドネア(フィリピン)はアメリカの業界内でも最高級にリスペクトされている現役ボクサーだということだ。
【動画】井上尚弥が前戦でドネアに放った強烈なボディーショットをチェック!
単に4階級制覇(暫定王座も合わせれば5階級制覇)、アジア人初の主要4団体王者といった勲章が飛び抜けているからというだけではない。キャリア初期からドネアは常に強敵との対戦を決して恐れなかったからだ。
フライ級時代の2007年に当時無敗で評価も高かったビック・ダルチニアン(アルメニア)を完全KOして初の王座奪取。スーパーバンタム級王者時代の2013年には誰も戦いたがらなかったギジェルモ・リゴンドー(キューバ)の挑戦を受け、14年にフェザー級に上げた際にはライト級なみの体格だったニコラス・ウォータース(ジャマイカ)に果敢に挑んだ。
そして過去数年、ふたたびバンタム級に下げたあと、"モンスター"と称された井上尚弥(大橋)との対戦を望み続けたのはご存知の通りである。
スランプと感じられる時期もあったし、上記したリゴンドー、ウォータース、井上にはすべて敗れている。それでも"将来の殿堂入り確実"といった評価の高さは変わらない。そんなドネアの軌跡は、異様なまでに無敗であることにこだわる現代の一部のトップボクサーへのアンチテーゼだと言えよう。
ただ――――。そういったドネアの素晴らしさを十分に理解したうえで、6月7日、さいたまスーパーアリーナで行なわれるリマッチはやはり井上が断然の主役だと考える。バンタム級史上稀に見る激闘となった19年の第1戦同様、序盤はスリリングになるのかもしれない。それでも前回からより上手に適応するのは、10歳以上も若く、ドネアと同等以上の才能を持つ井上の方だろう。
舞台の大きさからかやや"入れ込みすぎ"に見えた2年半前の反省を胸に、今回の井上はより慎重に、それでいて的確に、隙のない攻防でドネアを追い詰めていくのではないか。ナチュラルな勘を持ったドネアのタイミングのいいパンチはやはり怖く、特に左フックは最後まで警戒が必要ではあるが、前戦で貴重な経験を味わった井上は同じミスは犯すまい。
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単に4階級制覇(暫定王座も合わせれば5階級制覇)、アジア人初の主要4団体王者といった勲章が飛び抜けているからというだけではない。キャリア初期からドネアは常に強敵との対戦を決して恐れなかったからだ。
フライ級時代の2007年に当時無敗で評価も高かったビック・ダルチニアン(アルメニア)を完全KOして初の王座奪取。スーパーバンタム級王者時代の2013年には誰も戦いたがらなかったギジェルモ・リゴンドー(キューバ)の挑戦を受け、14年にフェザー級に上げた際にはライト級なみの体格だったニコラス・ウォータース(ジャマイカ)に果敢に挑んだ。
そして過去数年、ふたたびバンタム級に下げたあと、"モンスター"と称された井上尚弥(大橋)との対戦を望み続けたのはご存知の通りである。
スランプと感じられる時期もあったし、上記したリゴンドー、ウォータース、井上にはすべて敗れている。それでも"将来の殿堂入り確実"といった評価の高さは変わらない。そんなドネアの軌跡は、異様なまでに無敗であることにこだわる現代の一部のトップボクサーへのアンチテーゼだと言えよう。
ただ――――。そういったドネアの素晴らしさを十分に理解したうえで、6月7日、さいたまスーパーアリーナで行なわれるリマッチはやはり井上が断然の主役だと考える。バンタム級史上稀に見る激闘となった19年の第1戦同様、序盤はスリリングになるのかもしれない。それでも前回からより上手に適応するのは、10歳以上も若く、ドネアと同等以上の才能を持つ井上の方だろう。
舞台の大きさからかやや"入れ込みすぎ"に見えた2年半前の反省を胸に、今回の井上はより慎重に、それでいて的確に、隙のない攻防でドネアを追い詰めていくのではないか。ナチュラルな勘を持ったドネアのタイミングのいいパンチはやはり怖く、特に左フックは最後まで警戒が必要ではあるが、前戦で貴重な経験を味わった井上は同じミスは犯すまい。