格闘技・プロレス

いまだ衰えぬ闘志! “英雄”ブアカーオの電撃復帰勝利に母国メディアも狂喜乱舞「40歳という年齢は何の障壁にもならない」

THE DIGEST編集部

2022.07.08

見事な復活劇を遂げたブアカーオ。そのパフォーマンスに母国メディアも沸いている。(C)Getty Images

 かつて日本列島を沸かせたムエタイのレジェンドが、リングで華麗なる復活を遂げた。現地時間7月6日にカンボジア・プノンペンにて開催された『WORLD FIGHT TOURNAMENT 2022』で、ブアカーオ・バンチャメーク(タイ/以前はポー.プラムック)が復帰。ドミトリー・ヴァラッツ(ベラルーシ)に、判定の末に勝利を飾った。

 2019年3月のアルテム・パシュポリン(ロシア)戦以来となる実戦の舞台に立った40歳だったが、3年のブランクを一切感じさせなかった。会場となった国立競技場に詰めかけた観客が総立ちとなり、異様な空気感が漂うなかで迎え入れられたブアカーオは序盤から顔面前蹴りを繰り出すなど積極果敢に攻めた。

 アマチュア7冠の実績を持ち、プロ転向後も4連勝の実力を持つヴァラッツも派手なバックスピンエルボーを放つなど応戦する。だが、キャリア276戦目の猛者は経験値で上回った。決定打こそ打てなかったが、距離を測りながらの左ミドルや膝蹴りを巧みに使い分け、相手のスタミナを消耗させていくと、終盤3回は相手の追撃を一切許さない。全盛期に知れ渡った異名通りに"パーフェクト"な闘いを披露した。

 KO決着とはいかなかったが、40歳とは思えぬ切れ味を見せつけたブアカーオ。通算戦績で240勝目(24敗12分)を飾ったムエタイが誇る英雄の復活には、母国メディアも狂喜乱舞する。国内最大級のネットワークを誇る大手スポーツメディア『サイアム・スポーツ』は、「3年はブランクにならない」と銘打ったレポートを掲載。興奮気味に次のように記した。
 
「40歳という年齢はブアカーオにとって何の障壁にもならなかった。多彩な攻撃をいくつも繰り出した彼は自信をもって闘っていた」

 また、同じくタイ・メディア『サヌーク』は「試合前には呼吸器系の不安があった。3年も闘っていなかったからね。でも、実際にやってみて、俺はまだまだ強いと感じた。まだ現役そのものだ」と口にした本人のコメント伝えたうえで、「カンボジアの人々は最初から最後までブアカーオに熱狂した。この日、彼を邪魔したのは、降り続いた雨ぐらいだ」と、変わらぬ強さを強調した。

 2004年に中量級トーナメント「K-1 WORLD MAX」では、当時絶対的な存在感を放っていた魔裟斗の連覇を阻止し、見事な戴冠劇を演じた。無論、その時ほどのキレ味はない。だが、若かりし頃から磨いてきたテクニックで再びリングに返り咲いたブアカーオは、まだまだ話題を作ってくれそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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