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全力なら「9秒80」の可能性も! 100mU-20世界新を樹立したボツワナの逸材はなぜ本気で走らなかったのか?

THE DIGEST編集部

2022.08.03

ラスト20メートルを流して9秒91で走り切ったテボゴ。(C)Getty Images

 驚異的な記録が誕生していた……かもしれない。

 現地時間8月2日、コロンビアで開催されている『U-20世界陸上競技選手権』の男子100メートでレツィレ・テボゴ(ボツワナ)がU-20世界新記録を更新する9秒91(追い風0.8メートル)で2連覇を飾った。

【動画】余裕の走りで9秒91!「ネクスト・ボルト」と称されるテボゴの走りをチェック

 昨年のチャンピオンとして臨んだ今大会。迎えた決勝は、リアクションタイム0.129秒とロケットスタートを決めると、すぐさまトップに立った。みるみる後続との差を広げると、ラスト20メートル辺りで横を確認。2位につけるブワジー・クルミー(ジャマイカ)を煽り立てるようなジェスチャーをみせ、流しながら1位でフィニッシュしたのだ。

 最後まで本気を出さずともU-20の世界記録を打ち立てた彼に、タイムを狙いゴールまで駆け抜けていれば……と思わざるを得ない。だが当本人は、「レースを楽しもうとしていた」と試合後に口にしていたと世界陸連が公式ニュースで報じた。

 そのうえでテボゴは「誰かが不快な思いをしてしまったなら申し訳ない。ただ、家で観戦しているファンにレースを楽しんでほしいと思い、ウサイン・ボルトが昔やっていたパフォーマンスを行なった」と告白。「彼は私のアイドルであり、尊敬する選手なので」と世界最速の男に畏敬の念を示した。

 そしてボツワナの新星は、「号砲が鳴ったとき、これまでで最高のスタートを確実に切らなければいけないと考えていて、思い通りに最高のダッシュが決まった」と振り返り、以下のように続けた。
 
「ゴール直前のパフォーマンスは計画していたわけではない。ただ最初の一歩を踏み出した瞬間、タイトルは私のものだと確信した。タイムは気にしなかった。全く見ていなかったよ」

 さらに「全力で走っていたらどれくらいのタイムだった?」という質問に対しては、「9秒80」と回答。タイムを狙わなかった理由については、「今後もレースには出るので、今回出す必要はないと考えた。今はジュニアのカテゴリー。次の世代が更新できるようなタイムを残しておかないといけないからね」と泰然と述べた。

 この先は、アメリカの名門オレゴン大学に入学して競技を続ける予定のテボゴ。大物感漂う19歳の今後のパフォーマンスにも注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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