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バレーボール

若手の台頭で「古賀頼み」は解消された!?「世界の監督から驚かれた」スピード&精度のバックアタックで世界選手権に臨む!

THE DIGEST編集部

2022.08.22

キャプテンとしてチームを牽引する古賀。その実力は世界でも認められている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

キャプテンとしてチームを牽引する古賀。その実力は世界でも認められている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 8月20、21日の両日、ヴィクトリーナ・ウインク体育館(姫路市)で女子バレー日本代表の紅白戦が行なわれた。前週には岡山で開催された紅白戦も、いよいよラスト2試合。世界選手権へ向け、さまざまな試みがなされるなか、圧倒的な存在感を見せつけたのはやはり主将の古賀紗理那だった。

 6月から7月に開催されたネーションズリーグでも世界と渡り合うエースとして攻撃力の高さを発揮したが、紅白戦でもスピード、決定力、安定感はピカイチ。特に象徴的だったのが、ネーションズリーグで眞鍋政義監督が「日本のバックスパイクは何なんだ、と世界の監督たちから驚かれた」というバックアタックだ。

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 世界の強豪国と比べて圧倒的に高さで劣る日本が勝利するための、いわば必殺技とも言うべきバックアタック。相手ブロックが完成する前に、追いつけないスピードで打つ。的確にボールヒットする技術が求められる。スパイカーだけでなくセッターにもトスのスピードを要求し、アタッカーは同じリズムで攻撃に入る。中でも古賀のバックアタックは、スピード、キレ味ともにダントツで、眞鍋監督が言う「世界の監督たちから驚かれた」という言葉も納得だ。

 しかし単にスピードを意識すればいいのかと言えばそうではない。セッターが速さばかりを意識すればトスが低くなり、アタッカーの打点も下がり、力の乗ったスパイクが打ち切れない。せっかく速さで上回ることができても、十分な力が乗ったスパイクが打てなければ相手にとってはチャンスボールになることや、相手ブロックにつかまるケースも増え、さらにはネットを越えずにスパイクミスにつながることもある。

 ではより正確に力強く打ち続けるためにどうすべきか。古賀は昨年の日本代表期間中や、Vリーグでも常にセッターからのトスには一定の高さや速さを求め、なおかつ自分も打ち切れるように「同じリズムで助走に入るよう意識してきた」という。高い精度を求められるなかでも繰り返し練習した成果がネーションズリーグでの結果であり、まぎれもなく古賀が“エース”と呼ばれる所以でもある。

 それゆえ、古賀にトスが集まり「古賀頼み」ともいえる状況に繋がることもあるが、対角に入る井上愛里沙や、紅白戦で活躍した宮部愛芽世、佐藤淑乃といった若手も成長し、皆バックアタックに積極的に入る姿勢が目立った。

 高い精度とスピードが求められるなかでも、他の選手にとって指針となるのが古賀であり、古賀の武器であるバックアタックを1人でも多くの選手が同様の決定力を持って打つことができれば世界に勝つことができる、という姿勢の表れでもあるはずだ。
 
 初めて日本代表に選出された10代の頃から大型アタッカーとして注目を集め、高い攻撃力は日本を背負うエースとして活躍も期待された。だがリオデジャネイロ五輪の出場を逃し、満を持して臨んだ東京五輪も初戦のケニア戦で負傷し、グループリーグ敗退を喫した。

 度重なる試練に、一時は「東京オリンピックが終わったら代表にはいかない」と考えたこともあったというが、眞鍋監督からの「キャプテンは古賀しかいない」という説得に「やらなければ後悔する」と決意し、キャプテンに就任した。

 ネーションズリーグで見せたように、紅白戦でも得点を取れば選手を集めて共に喜び、自身が試合に出ていない時はベンチでその都度選手に声をかけ、アドバイスを送る。試合後のコートインタビューでは「日本のたくさんの方々の前で紅白戦ができたことに、感謝しています」と述べる姿は、まぎれもなく日本のリーダーそのもの。

 攻守の要であるだけでなく、精神的支柱でもある古賀の存在が軸となり、新生日本代表は世界選手権に臨む。驚異のスピード、精度を誇るバックアタックの炸裂が今から楽しみだ。

構成●THE DIGEST編集部

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