格闘技・プロレス

女子バレー日本代表、なぜ真鍋監督は世界選手権の目標を上方修正したのか? パリ五輪を見据え指揮官が求めるものとは?

北野正樹

2022.08.28

ベスト4を目指して世界選手権に臨む真鍋ジャパン。写真:北野正樹

 バレーボール女子日本代表の「火の鳥NIPPON」が8月24日、世界選手権(9月23日開幕・オランダ、ポーランド)の代表候補16選手を発表した。5年ぶりに代表監督に復帰した眞鍋政義監督にとって、2024年パリ五輪でのメダル獲得に向け試金石となる大会。開幕まであと1か月。戦術とチームのコーディネートに長けた眞鍋監督が目指すバレーとは――。

「東京五輪が10位。4強と言えばハードルが高いと思われるので3次リーグ進出(8強入り)と言っているが、目標は4強」。代表候補発表後のオンライン記者会見で、眞鍋監督が世界選手権での目標を上方修正した。
 
 就任以来、公表してきた世界選手権の目標は8強入りだった。しかし、前回監督時の10年の世界選手権は3位に入り、32年ぶりのメダルを獲得。12年ロンドン五輪も3位で、28年ぶりのメダル獲得につなげた。「歴史を振り返ってみると、世界選手権で4強入りすると五輪でのメダル獲得は80%以上になる」。自身の経験を顧みるまでもなく、パリ五輪でメダルを獲得するためには4強入りが必要になるというわけだ。

 手応えもある。今年6月から約1か月半、転戦した「FIVBネーションズリーグ2022(VNL)」で得た収穫と課題だ。開幕から8連勝でファイナルラウンド進出を決めたものの、5連敗と勢いに乗れなかったが、速いバックアタックで活路を開き、ファイナル初戦ではミスで失点を重ねたものの強豪・ブラジルを苦しめた。

 大きな収穫は、古賀紗理那主将(NEC)のキャプテンシーと得点力。総得点で全体の2位につけ、チームをけん引した。眞鍋監督は大会前に「1セット、5点以上取ってほしい」と古賀に求めたという。出場した44セットのうち31セットで目標を達成。出場12試合のうち9試合で日本人トップの得点を叩き出した。

「キャプテンとして先頭に立ち、積極的にコミュニケーションを取って、思った以上に頑張ってくれた。世界選手権でも大車輪の活躍をしてほしい」と眞鍋監督。

 古賀も「まず5点、と意識した。サイドの選手が点数を取ると勝率も上がる。世界選手権でも意識したい」という。また、「チームが勝っている時には互いにつながりを持てているが、劣勢の時は一人ひとりが小さく、コートが大きく見える。東京五輪ではプレッシャーもあり、つながりが悪く個々でやっていた。これでは勝てないので、一人で点を取るのではなく、一人ひとりがつながりを持って戦うことが大事。助け合いだと思うので、そういうチームを目指したい」と主将として理想のチーム像を掲げる。
 
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真鍋監督が求める目標設定。サーブ、バックアタック、セッター…