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8番人気ジャンダルムがGⅠ初制覇で3連単46万強の大波乱!1番人気メイケイエールは不可解な凡走【スプリンターズS・レビュー】

三好達彦

2022.10.04

ジャンダルムはGⅠスプリンターズSで母・ビリーヴとの母仔制覇を達成した。写真:産経新聞社

 秋の短距離王決定戦、スプリンターズステークス(GⅠ、中山・芝1200m)が10月2日(日)に行われ、単勝8番人気のジャンダルム(牡7歳/栗東・池江泰寿厩舎)が、7番人気のウインマーベル(牡3歳/美浦・深山雅史厩舎)の猛追をクビ差で抑え、GⅠレース初制覇を飾った。そして、3着には5番人気のナランフレグ(牡6歳/美浦・宗像義忠厩舎)が入り、3連単の配当は46万8950円を記録する高配当となった。

【動画】8番人気ジャンダルムが通算29度目の挑戦でGⅠ初制覇

 一方、単勝オッズ2.5倍の1番人気に推されたメイケイエール(牝4歳/栗東・武英智厩舎)は好位置を進みながら直線で脚が止まり、16頭立ての14着に大敗。またもビッグタイトルには手が届かなかった。

 逃げると見られていたテイエムスパーダ(牝3歳/栗東・五十嵐忠男厩舎)がやや立ち遅れたが、激しく手綱をしごいて先頭を奪う。2番枠からスムーズに出たジャンダルムが3番手に付け、注目のメイケイエールはそれに添うように4番手の好位置をキープする。テイエムスパーダが刻んだ前半3ハロンのラップは32秒7を記録したが、スプリントGⅠとしてはさほど速いものではなく、各馬流れに乗って、スパート態勢へと入りながら直線へと向かった。

 テイエムスパーダがバテて後退するところ、ジャンダルムが鋭い反応で先頭に躍り出る。しかし、本来ならここで迫ってくるはずのメイケイエールは鞍上の池添謙一騎手のゴーサインに反応しないばかりか、脚色が鈍って馬群に飲み込まれてしまい、スタンドからは悲鳴にも似た声が上がった。

 そして坂を上がったところで、逃げ込みを図るジャンダルムに向かって後続が一気に襲い掛かり、中でも脚色が目立つウインマーベルが猛追するが、惜しくもクビ差届かず。結果、ジャンダルムが際どく逃げ込んで初のGⅠタイトル奪取に成功した。
 
 手綱をとった荻野極騎手は、デビュー6年目にして嬉しい初GⅠ制覇となった。ちなみに荻野騎手は、ジャンダルムと今年3月のオーシャンステークス(GⅢ、中山・芝1200m)を制したのが重賞初勝利だった。

 ジャンダルムの母ビリーヴ(Believe)は2002年に本レースを制したトップスプリンターだった。現役引退後は米国へ渡って繁殖生活に入り、父キトゥンズジョイ(Kitten's Joy)との間に7番仔として生まれ、日本へ逆輸入されたのがジャンダルム。つまり今回の彼の勝利は同一GⅠの母仔制覇という快挙でもあった。
 
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大波乱の要因となったメイケイエールの大敗。池添騎手は「敗因が思いつかない」