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フィギュア

「僕はハニュウにインスパイアされた」17歳の逸材マリニンが4回転アクセルに挑戦した理由とは

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2022.10.09

4回転アクセル着氷はならなかったが、強烈な印象を残した米国の17歳、マリニン。写真:田中研治(The Digest写真部)

4回転アクセル着氷はならなかったが、強烈な印象を残した米国の17歳、マリニン。写真:田中研治(The Digest写真部)

 10月8日、さいたまスーパーアリーナで行なわれたフィギュアスケートの国際大会「ジャパンオープン」は、男女の世界王者・宇野昌磨と坂本花織が好演技を披露。さらに、紀平梨花の復調やシニア1年目の三浦佳生が健闘し、日本が2018年以来、通算10度目の優勝を飾った。

【画像】宇野昌磨、坂本花織、紀平梨花、三浦佳生が大活躍!ジャパンオープンの熱戦をチェック
 だが、今大会で会場中の視線を一身に集めたのは、アメリカの17歳の高校生だった。

 イリア・マリニン。9月に国際スケート連盟(ISU)公認大会で、人類史上初の4回転アクセル(4A)を着氷し、世界に衝撃を与えた。7日の公式練習では、4回転ジャンプ6種類7本を組み込んだ超異次元構成を披露。周囲の度肝を抜いた。

 迎えた大会当日、マリニンの演技構成は4回転ジャンプ4種類5本にとどめていた。「今シーズンは、いま自分が自信を持って跳ぶことができるジャンプに集中しようと思います。シーズン後半になったら、場合によっては少し追加するかもしれませんが、今はその段階ではありません」と、過剰に期待する周囲の声を抑えた。

 会場が固唾を飲んで注目したマリニンの1本目。幅のある高い4回転半ジャンプを跳んだが、着氷は惜しくも乱れてしまった。

「練習の時に着氷がうまくいかない時はどこに課題があるのかをよく見ているので、ほぼ解決できています。基本はしっかり理解できているので、今日はたまたまうまくできませんでしたが、(アクセルの)入り方の感触はしっかり掴んでいます」と、17歳は冷静に振り返った。

 たとえ4Aが失敗しても、続く2本目の4回転トウループと3本目の4回転ルッツはしっかり決めた。技の出来栄え点を示すGOEは、トウループが『2.85』、ルッツは『2.30』。十分過ぎる出来だった。
 
 公式練習後、宇野は「アクセル以外のジャンプもすごい。僕よりクオリティが高い」と17歳のジャンプ精度に脱帽していた。事実、フリーの技術点は宇野が100.56点に対し、マリニンは106.84点。その差は6.28点だった。

 高難度の4回転ジャンプを駆使できる要因についてマリニンは「小さい頃から自分のモチベーションとして、常に現状に満足することなく、さらに上を目指していました。それがうまくいったから、いろんな4回転ジャンプができたと思います」と明かした。

 さらに「最近は素晴らしいスケーターのスケートを実際に見る機会に恵まれ、それをうまく取り込んで組み合わせ、自分流に展開したら結果が出始めました」と、研究熱心な一面も見せた。
 
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