マラソン・駅伝

西山雄介が「MGCで勝つ」と勝利への執念!中村匠吾が仕掛けた“上り坂”を攻略も、ラストで競り負ける

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2022.10.16

MGCを想定しながら大会に臨んだ西山。ラストは賢明に前を走る2人の背中を追う形となった。(C)田中研治(THE DIGEST写真部)

 10月16日、『東京レガシーハーフマラソン』が行なわれ、男子の部はパリ五輪のマラソン有力候補者らも出場した。既にパリ選考レースとなるMGCの出場権を手にする西山雄介(トヨタ自動車)は、1時間2分15秒の日本人3位(全体11位)でゴールした。

 5キロ以降、先頭の海外勢に唯一喰らいついたのは、西山の駒澤大時代の先輩、村山謙太(旭化成)だ。積極的な走りをする先輩を追わなかった彼は、「無理をする必要もなかったので、自分のペースで追っていこう」と淡々とリズムを刻んだ。その理由をレース後、こう明かす。

「状態確認と、来年のMGCのコースかもしれないというので勝負となるポイント探しがメインだった」

 東京五輪の選考レースであった2019年のMGCを制した中村匠吾(富士通/元駒澤大)が仕掛けた上りの部分を意識したという西山は、「坂でしっかりと上げられたので、MGCを見据えて、いい形が出来た」と充実感を漂わせた。
 
 イメージを膨らませながら東京の街を颯爽と駆け抜けた27歳は、村山の背中にラスト1キロ地点で追いついた。2人で並走を続けると、一度は突き放したはずの上門大祐(大塚製薬)に競技場に入った瞬間、交わされた。トラック内で村山と上門がスパートをかけるなか、西山が真っ先に遅れをとった。

「最後切り替えてしっかり抜きたかったんですが、最後も差し込みがきて、スパートがかからない状態だった。今回こうやって差し込みがきたこともプラスに捉えて、今後どう対処していくのか考えたい」

 2人に先着を許し、日本人トップでフィニッシュした村山とは1秒差の3番手に甘んじた西山は、また新たな課題をも発見。パリ五輪へ向けて「MGCで勝つことしか考えていない」と"勝利"へのこだわりを見せる彼は、およそ1年後のMGCを見据えた。

取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)

【関連記事】パラ金・道下美里、笑顔の"世界新記録"のはずが「失格」に。ゴール直前の混乱がミスを生む「事前に説明はなかった」

【関連記事】村山謙太が1時間2分14秒で日本人トップ!上門大祐、西山雄介らとラストは"競技場勝負"に!【東京レガシーハーフ】

【関連記事】2つの"想定外"を乗り越えた早大が4位で突破!「厚底シューズ」禁止が功を奏した!?【箱根駅伝予選会】