10月15日、正月恒例の箱根駅伝出場をかけた予選会が東京・立川で行なわれ、白地に臙脂色で「W」のロゴが入ったユニホームの早稲田大は4位で通過を決めた。今季から指揮を執る花田勝彦監督は、ホっとした表情を浮かべつつも、レース中に“想定外”のことが2つ起きていたからか、どこか晴れやかではない。
「もう少しペースが速くなると思っていた」
花田監督はレース前、選手に「速くなっても焦らないように」と声を掛けていた。しかし蓋を開けてみれば、牽制し合い、先頭が1キロ3分というスローペースで入ったのだ。まさかの事態に同監督は悔しさを滲ませた。
「選手たちには位置取りの話しかしていなかった。ペースが遅いのに選手たちは忠実にその位置取りで走ってしまった。考えて上がってきた選手もいますが、ハーフの経験のない選手や持ちタイムが遅い選手は、そこで慎重になりすぎ、後半も伸びなかった」
さらに前でタイムを稼ぐ役割を担っていたルーキー山口智規が「低体温と過呼吸を起こしていた」と明かす。10キロ付近まで、4年生の井川龍人と共に日本人2位集団で進めていた山口だが、15キロ過ぎに順位を大きく落としチーム最下位でのゴールとなったのだ。
この2つのアクシデントがあったものの、井川が日本人2位の1時間2分39秒でゴール。さらに3人が1時間3分台、4人が1時間4分台と層の厚さを見せつけた。指揮官は「悪くても3番以内と思っていました。ちょっと想定より下回りましたけど、アクシデントがあったなかでの4位なので妥当な成績」と振り返った。
今年の6月に駅伝監督に就任したばかりの花田氏は、これまで“脚づくり”にフォーカスをあててきた。カーボンプレートが搭載された“厚底シューズ”は「パフォーマンスは凄く上がる」と評価しながらも、一部の練習での使用を禁止。時代に逆らうように革新的なシューズを避けた理由をこう説明した。
「故障のリスクが凄く高く、出来るだけ脚をつくろうと、カーボンは無しにしました。本来はカーボンを使ったうえでの筋力強化をやるのが一番いい。でも学生は時間が限られている」
アクシデントがありながらも上位で通過できたのは、着実に脚づくりから見直した成果かもしれない。名門再建を託された同氏は、来年1月の本戦に向けて、「確実にシード権を獲ったなかで、さらにどれだけ戦えるか」と早くも前を見据えている。
取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)
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「もう少しペースが速くなると思っていた」
花田監督はレース前、選手に「速くなっても焦らないように」と声を掛けていた。しかし蓋を開けてみれば、牽制し合い、先頭が1キロ3分というスローペースで入ったのだ。まさかの事態に同監督は悔しさを滲ませた。
「選手たちには位置取りの話しかしていなかった。ペースが遅いのに選手たちは忠実にその位置取りで走ってしまった。考えて上がってきた選手もいますが、ハーフの経験のない選手や持ちタイムが遅い選手は、そこで慎重になりすぎ、後半も伸びなかった」
さらに前でタイムを稼ぐ役割を担っていたルーキー山口智規が「低体温と過呼吸を起こしていた」と明かす。10キロ付近まで、4年生の井川龍人と共に日本人2位集団で進めていた山口だが、15キロ過ぎに順位を大きく落としチーム最下位でのゴールとなったのだ。
この2つのアクシデントがあったものの、井川が日本人2位の1時間2分39秒でゴール。さらに3人が1時間3分台、4人が1時間4分台と層の厚さを見せつけた。指揮官は「悪くても3番以内と思っていました。ちょっと想定より下回りましたけど、アクシデントがあったなかでの4位なので妥当な成績」と振り返った。
今年の6月に駅伝監督に就任したばかりの花田氏は、これまで“脚づくり”にフォーカスをあててきた。カーボンプレートが搭載された“厚底シューズ”は「パフォーマンスは凄く上がる」と評価しながらも、一部の練習での使用を禁止。時代に逆らうように革新的なシューズを避けた理由をこう説明した。
「故障のリスクが凄く高く、出来るだけ脚をつくろうと、カーボンは無しにしました。本来はカーボンを使ったうえでの筋力強化をやるのが一番いい。でも学生は時間が限られている」
アクシデントがありながらも上位で通過できたのは、着実に脚づくりから見直した成果かもしれない。名門再建を託された同氏は、来年1月の本戦に向けて、「確実にシード権を獲ったなかで、さらにどれだけ戦えるか」と早くも前を見据えている。
取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)
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