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【菊花賞】馬の力を信じ”勝ちにいった”田辺裕信騎手の絶妙な手綱さばき。アスクビクターモアが衝撃のレコードタイムで制す

三好達彦

2022.10.25

衝撃的なレコード決着となった牡馬クラシック最終戦。写真判定の末、14番アスクビクターモアが菊花賞を制した。写真:産経新聞社

衝撃的なレコード決着となった牡馬クラシック最終戦。写真判定の末、14番アスクビクターモアが菊花賞を制した。写真:産経新聞社

 10月23日、2022年の牡馬クラシック戦線を締め括る菊花賞(GⅠ、阪神・芝3000m)が行なわれ、単勝2番人気となったアスクビクターモア(美浦・田村康仁厩舎)が積極的なレース運びで押し切って優勝。2着には激しく追い込んだ7番人気のボルドグフーシュ(栗東・宮本博厩舎)が入り、3着には4番人気にはジャスティンパレス(栗東・杉山晴紀厩舎)が食い込んだ。

 また、1番人気に推されたガイアフォース(栗東・杉山晴紀厩舎)は直線で失速して8着に敗れ、5番人気のプラダリア(栗東・池添学厩舎)も伸び切れずに7着となった。

 スタミナだけではなく、スピード能力も求められる激しい菊花賞になった。ゲートが開くと勢い良く飛び出したセイウンハーデス(栗東・橋口慎介厩舎)が先頭に立ち、グングンと逃げ脚を伸ばして後続を引き離していく。見るからにハイペースに見える逃げだったが、アスクビクターモアはそこから数馬身離れた2番手を追走。手綱をとる田辺裕信騎手の”勝ちにいく”という気迫を感じる積極的な位置取りだった。

 ガイアフォースとジャスティンパレスは先団の6~7番手を進み、3番人気に推されたドゥラドーレスやボルドグフーシュは後方集団を追走。注目のラップだが、1000mの通過が58秒7。今年の阪神と舞台は違うが、1998年に京都競馬場でハイペースと騒がれたセイウンスカイが計時したラップタイムでも59秒6で、それより0秒9も速いのだから、普通に考えれば、これは明らかなオーバーペースと言ってよい。それでもセイウンハーデスはペースを落とそうとせず逃げに逃げ、アスクビクターモアも変わらず数馬身の差を保ちながらそれを追った。
 
 動きが出たのは2周目の第3コーナー過ぎ。自ら刻んだハイペースが堪えてセイウンハーデスが後退していくと、その外から一気にアスクビクターモアが先頭を奪う。そして後続集団のなかからジャスティンパレスが追撃態勢に入り、後方を進んでいたボルドグフーシュが一気に4~5番手までを押し上げる。

 そして迎えた直線。アスクビクターモアは後続に5馬身ほどの差を付け、鞍上の叱咤を受けながら逃げ込みを図る。それを許すまいとジャスティンパレスがじりじりと差を詰め、さらには外からボルドグフーシュも死力を尽くして追いすがる。

 届くのか、届かないのか。4番手以下を遠く突き放して3頭で激闘が繰り広げられるなか、アスクビクターモアは驚異的な粘りを発揮し、ジャスティンパレスを交わしたボルドグフーシュがグングンと差を詰める。息詰まる叩き合いの末、2頭が馬体を並べたところがゴールだった。
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