結果は写真判定に持ち込まれ、アスクビクターモアがハナ差で勝利を掴んだ。走破タイムは、ナリタトップロードが2001年の阪神大賞典(GⅡ、阪神・芝3000m)で記録した3分02秒5を0秒1更新する、衝撃のコースレコードとなった。
アスクビクターモアは弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ、中山・芝2000m)で、ドウデュース(栗東・友道康夫厩舎)を抑えて勝利を収めたのち、皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)が5着、日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)がドウデュース、イクイノックス(美浦・木村哲也厩舎)に次ぐ3着と善戦。ステップのセントライト記念(GⅡ、中山・芝2200m)をガイアフォースの2着として菊花賞に臨戦。春季クラシックで上位争いを繰り広げた”格上”の存在だった。
クラシック初制覇を果たした田辺騎手は、「目標とされる立場なので、馬の力を信じて自分で動かしていった(※積極的に乗ったの意味)。道中は抑え込むよりマイペースで行きたいと思っていたので、ペースは速かったかもしれないが、馬が力まないように気を付けて乗った。最後は脚が上がり気味でしたが、よく凌ぎ切ってくれた」と、プラン通りのレース運びができたことを明かした。
ディープインパクト産駒と言えば、末脚の切れ味が特徴と思いがちだが、アスクビクターモアはスタミナにも長けたタイプ。凱旋門賞(GⅠ、仏ロンシャン・芝2400m)を制するなど欧州の中長距離戦線で活躍し、春の天皇賞馬サクラローレルなどを輩出したことでも知られる本馬の母の父レインボウクエスト(Rainbow Quest)の影響が強く感じられるが、近年稀なタフさを求められる勝負となった今年の菊花賞で、田辺騎手は愛馬のキャラクターを活かし切った見事な騎乗で勝利を手繰り寄せた。
ハナ差で敗れたボルドグフーシュも、デビュー以来、一貫して2000m以上のレースを使われて培われてきた中長距離向きの能力を出し切った。おそらくベストは2400m前後と思われるが、父スクリーンヒーローに次いでのジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)制覇に夢を馳せたくなる。
また追い込み脚質の本馬を、第3コーナー付近から馬群を縫うように押し上げて好勝負に持ち込んだ吉田隼人騎手の手腕も称賛に値するもの。ソダシとのコンビも含め、ますます目が離せない騎手となったことを改めて記しておきたい。
筆者がプレビュー記事で強く推したジャスティンパレスは、3頭の叩き合いで競り負けて、ボルドグフーシュから半馬身差の3着に敗れたが、4着には5馬身差を付けており、ポテンシャルの高さは十分に示したと言えるのではないか。外の17番枠という不利を差し引けば、上位2頭とほとんど差はなく、菊花賞が7戦目というキャリアの少なさから、これからの成長も見込める楽しみな存在となった。
一方、1番人気に推されながら8着に敗れたガイアフォースだが、道中はジャスティンパレスと同じような位置にいながら、直線では伸びを欠いてしまった。アスクビクターモアを差し切ったセントライト記念で「走り過ぎた」という声もあるが、筆者は「折り合いは付いたが、距離(距離適性の影響)もあったのかもしれない」という松山弘平騎手のコメントに尽きるのではないかと考える。今後の路線の選択も含めて、今後も注目したい1頭であることには変わりない。
文●三好達彦
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アスクビクターモアは弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ、中山・芝2000m)で、ドウデュース(栗東・友道康夫厩舎)を抑えて勝利を収めたのち、皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)が5着、日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)がドウデュース、イクイノックス(美浦・木村哲也厩舎)に次ぐ3着と善戦。ステップのセントライト記念(GⅡ、中山・芝2200m)をガイアフォースの2着として菊花賞に臨戦。春季クラシックで上位争いを繰り広げた”格上”の存在だった。
クラシック初制覇を果たした田辺騎手は、「目標とされる立場なので、馬の力を信じて自分で動かしていった(※積極的に乗ったの意味)。道中は抑え込むよりマイペースで行きたいと思っていたので、ペースは速かったかもしれないが、馬が力まないように気を付けて乗った。最後は脚が上がり気味でしたが、よく凌ぎ切ってくれた」と、プラン通りのレース運びができたことを明かした。
ディープインパクト産駒と言えば、末脚の切れ味が特徴と思いがちだが、アスクビクターモアはスタミナにも長けたタイプ。凱旋門賞(GⅠ、仏ロンシャン・芝2400m)を制するなど欧州の中長距離戦線で活躍し、春の天皇賞馬サクラローレルなどを輩出したことでも知られる本馬の母の父レインボウクエスト(Rainbow Quest)の影響が強く感じられるが、近年稀なタフさを求められる勝負となった今年の菊花賞で、田辺騎手は愛馬のキャラクターを活かし切った見事な騎乗で勝利を手繰り寄せた。
ハナ差で敗れたボルドグフーシュも、デビュー以来、一貫して2000m以上のレースを使われて培われてきた中長距離向きの能力を出し切った。おそらくベストは2400m前後と思われるが、父スクリーンヒーローに次いでのジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)制覇に夢を馳せたくなる。
また追い込み脚質の本馬を、第3コーナー付近から馬群を縫うように押し上げて好勝負に持ち込んだ吉田隼人騎手の手腕も称賛に値するもの。ソダシとのコンビも含め、ますます目が離せない騎手となったことを改めて記しておきたい。
筆者がプレビュー記事で強く推したジャスティンパレスは、3頭の叩き合いで競り負けて、ボルドグフーシュから半馬身差の3着に敗れたが、4着には5馬身差を付けており、ポテンシャルの高さは十分に示したと言えるのではないか。外の17番枠という不利を差し引けば、上位2頭とほとんど差はなく、菊花賞が7戦目というキャリアの少なさから、これからの成長も見込める楽しみな存在となった。
一方、1番人気に推されながら8着に敗れたガイアフォースだが、道中はジャスティンパレスと同じような位置にいながら、直線では伸びを欠いてしまった。アスクビクターモアを差し切ったセントライト記念で「走り過ぎた」という声もあるが、筆者は「折り合いは付いたが、距離(距離適性の影響)もあったのかもしれない」という松山弘平騎手のコメントに尽きるのではないかと考える。今後の路線の選択も含めて、今後も注目したい1頭であることには変わりない。
文●三好達彦
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