シーズン前半のクライマックスとなるフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが、現地時間12月8日よりイタリア・トリノで開催されている。コロナ禍により2年連続で中止を余儀なくされたファイナルだが、今季は3年ぶりの実現とあって期待も高まっている。
女子シングルは6人中5人がファイナル初出場という、フレッシュな顔ぶれ。世界女王の坂本花織をはじめ、三原舞依、渡辺倫果の日本人3名が出場する。GPファイナルに日本人が3名進出するのは、2018-19シーズンのバンクーバー大会以来4年ぶりになる。
同大会には、当時18歳の坂本と紀平梨花、宮原知子が出場。平昌オリンピック金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)の連覇が有力視されたなか、シニアシーズン1年目の紀平がショートで大技トリプルアクセルを決め、当時の世界最高得点を更新する活躍でファイナル初優勝。2005年の浅田真央以来、13年ぶりとなるシニア初参戦でのGPファイナル制覇の快挙を成し遂げた。2位にザギトワ、3位にエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)が入り、坂本は4位、宮原は6位だった。
"強力"ロシア勢が不在の今大会、日本勢は4年ぶりの表彰台の可能性が高い。なかでも優勝候補筆頭として期待がかかるのは、22歳の坂本だ。
坂本は2月の北京オリンピックで銅メダルを獲得すると、3月の世界選手権で優勝し、初の頂点に立った。ロシア勢のような4回転ジャンプやトリプルアクセルといった武器はないが、一つひとつのジャンプや演技のつなぎ、ステップなど質の高いスケーティングに磨きをかけたことで、世界トップと互角以上の戦いを演じ、結果に結びついた。
今季は平昌オリンピックシーズンからプログラムの振り付けを担当したブノワ・リショー氏から、カナダ出身の振付師マリー=フランス・デュブレイユ氏と新タッグを組み、さらなるレベルアップを図った。
同氏は北京オリンピックのアイスダンス金メダリストのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン(フランス)組を指導し、同じく男子シングルで金メダルに輝いたネイサン・チェン(米国)のフリー『ロケットマン』の振り付けを手掛けた名伯楽。坂本にとって、初の女性振付師だった。
「柔らかい動きは自分にとって一番苦手な分野で、すごく苦労している」と、女性らしさを追求する柔らかい繊細な動きに最初は苦労したが、「"優しく"と"力を抜く"というのは似ているようで違うので、そこをしっかり使い分けないといけない」と坂本は語る。
デュブレイユ氏とはスマホの翻訳アプリなどを駆使し、お互いの意図を確認して新フリー『Elastic Heart』を練り上げた。さらにショートも、米国の人気歌手ジャネット・ジャクソンの『Rock With You』『Feedback』などのメドレー曲をジェイソン・ブラウン(米国)の振り付けを長く担当していたロヒーン・ワード氏が手掛けるなど、世界女王として臨む新シーズンは、新たな挑戦の連続だった。
迎えたGPシリーズ開幕戦のアメリカ大会。世界女王は貫録ある演技を披露した。ショートはノーミスと言っていい内容で首位に立ち、フリーは後半のダブルアクセル+3回転トウループの減点以外、ジャンプは全て降りた。今季からルールが厳格化されたスピンでも最高評価のレベル4を全て獲得。好スタートを切った。
演技直後の坂本は悔しい表情を見せたが、「スケートアメリカに来るのは5回目で、今回初めて金メダルを獲得できたのは嬉しかった。肝だった3回転-3回転のコンビネーションジャンプを確実に決められるように集中していた」と、優勝したGPシリーズ初戦を振り返った。
2戦目のNHK杯ではジャンプのミスが響き、2位に終わった坂本。ファイナルの切符を確定したが表情は冴えず、「自分の頭の中で悪魔と天使が戦っていて"頑張らないと"って言っている自分と、"もう頑張り疲れた"っていう自分がいる。そこを今、葛藤中なのでなんとか悪魔をやっつけたいなと思っています」と坂本節を炸裂させた。ファイナルではしっかり気持ちを切り替え、挽回を狙ってくるはず。自らの心に棲む悪魔を倒せば、世界女王は初のファイナル制覇に手が届く。
女子シングルは6人中5人がファイナル初出場という、フレッシュな顔ぶれ。世界女王の坂本花織をはじめ、三原舞依、渡辺倫果の日本人3名が出場する。GPファイナルに日本人が3名進出するのは、2018-19シーズンのバンクーバー大会以来4年ぶりになる。
同大会には、当時18歳の坂本と紀平梨花、宮原知子が出場。平昌オリンピック金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)の連覇が有力視されたなか、シニアシーズン1年目の紀平がショートで大技トリプルアクセルを決め、当時の世界最高得点を更新する活躍でファイナル初優勝。2005年の浅田真央以来、13年ぶりとなるシニア初参戦でのGPファイナル制覇の快挙を成し遂げた。2位にザギトワ、3位にエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)が入り、坂本は4位、宮原は6位だった。
"強力"ロシア勢が不在の今大会、日本勢は4年ぶりの表彰台の可能性が高い。なかでも優勝候補筆頭として期待がかかるのは、22歳の坂本だ。
坂本は2月の北京オリンピックで銅メダルを獲得すると、3月の世界選手権で優勝し、初の頂点に立った。ロシア勢のような4回転ジャンプやトリプルアクセルといった武器はないが、一つひとつのジャンプや演技のつなぎ、ステップなど質の高いスケーティングに磨きをかけたことで、世界トップと互角以上の戦いを演じ、結果に結びついた。
今季は平昌オリンピックシーズンからプログラムの振り付けを担当したブノワ・リショー氏から、カナダ出身の振付師マリー=フランス・デュブレイユ氏と新タッグを組み、さらなるレベルアップを図った。
同氏は北京オリンピックのアイスダンス金メダリストのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン(フランス)組を指導し、同じく男子シングルで金メダルに輝いたネイサン・チェン(米国)のフリー『ロケットマン』の振り付けを手掛けた名伯楽。坂本にとって、初の女性振付師だった。
「柔らかい動きは自分にとって一番苦手な分野で、すごく苦労している」と、女性らしさを追求する柔らかい繊細な動きに最初は苦労したが、「"優しく"と"力を抜く"というのは似ているようで違うので、そこをしっかり使い分けないといけない」と坂本は語る。
デュブレイユ氏とはスマホの翻訳アプリなどを駆使し、お互いの意図を確認して新フリー『Elastic Heart』を練り上げた。さらにショートも、米国の人気歌手ジャネット・ジャクソンの『Rock With You』『Feedback』などのメドレー曲をジェイソン・ブラウン(米国)の振り付けを長く担当していたロヒーン・ワード氏が手掛けるなど、世界女王として臨む新シーズンは、新たな挑戦の連続だった。
迎えたGPシリーズ開幕戦のアメリカ大会。世界女王は貫録ある演技を披露した。ショートはノーミスと言っていい内容で首位に立ち、フリーは後半のダブルアクセル+3回転トウループの減点以外、ジャンプは全て降りた。今季からルールが厳格化されたスピンでも最高評価のレベル4を全て獲得。好スタートを切った。
演技直後の坂本は悔しい表情を見せたが、「スケートアメリカに来るのは5回目で、今回初めて金メダルを獲得できたのは嬉しかった。肝だった3回転-3回転のコンビネーションジャンプを確実に決められるように集中していた」と、優勝したGPシリーズ初戦を振り返った。
2戦目のNHK杯ではジャンプのミスが響き、2位に終わった坂本。ファイナルの切符を確定したが表情は冴えず、「自分の頭の中で悪魔と天使が戦っていて"頑張らないと"って言っている自分と、"もう頑張り疲れた"っていう自分がいる。そこを今、葛藤中なのでなんとか悪魔をやっつけたいなと思っています」と坂本節を炸裂させた。ファイナルではしっかり気持ちを切り替え、挽回を狙ってくるはず。自らの心に棲む悪魔を倒せば、世界女王は初のファイナル制覇に手が届く。