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フィギュア

【GPファイナル展望】”強力”ロシア勢不在の女子シングル。坂本花織&三原舞依ら日本の表彰台独占の可能性も!?

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2022.12.09

海外勢は3人が出場。キム・イェリム(左)、ヘンドリックス(中央)、レビト(右)はファイナル初出場だ。(C)Getty Images

海外勢は3人が出場。キム・イェリム(左)、ヘンドリックス(中央)、レビト(右)はファイナル初出場だ。(C)Getty Images

 もう一人の日本人、渡辺倫果も負けていない。9月のロンバルディア杯(イタリア・ベルガモ)で、世界女王の坂本を抑えてISU公認大会で初優勝を飾る。すると、GPシリーズ第2戦のカナダ大会にエントリーしていた樋口新葉が怪我により出場辞退が発表されると、代打として白羽の矢が立ったのが20歳の大学生だった。

 思わぬ形で初のGPシリーズに参戦した渡辺。ショートは6位発進だったが、翌日のフリーで大技トリプルアクセルを見事に決める強心臓ぶりを発揮する。134.32点でフリートップに躍り出ると、合計197.59点で大逆転優勝を果たす。一躍、彼女は“ニューヒロイン”となり、世界を驚かせた。

 難しい調整を強いられた渡辺だったが、結果を出せたことに確かな手応えを掴んだ。地元メディアに対し、「とても緊張しました。初めてのグランプリでしたが、かなりうまくできました。たった1週間前にカナダに行くと言われたので、トレーニングを調整しなければなりませんでした。課題もいくつかありましたが、うまくいきました」と振り返った。

 シリーズ2戦目のNHK杯では5位に沈んだが、カナダ大会優勝の貯金が生き、初の大舞台に駒を進めた。戦いの舞台となるパラベーラは、2006年トリノオリンピックで荒川静香が金メダルを獲得した会場である。「トリノオリンピックで荒川静香さんの演技を見て、フィギュアスケートを始めた」と語る渡辺は、憧れの人が滑った舞台で、自らも頂点を目指す。
 
 日本勢のライバルとなる海外選手では、ベルギーの23歳ヘンドリックスと韓国の19歳キム・イェリムが立ちはだかる。北京オリンピックにも出場した両者は、今季のGPシリーズでも実力を遺憾なく発揮している。

 ヘンドリックスは第3戦のフランス大会で優勝。11月5日のフリーは自身の誕生日だったこともあり、自らバースデーを祝う勝利の美酒となった。NHK杯に出場したキム・イェリムは坂本を上回るスコアで優勝。2009-10年シーズンのキム・ヨナ以来の韓国人ファイナリストを決めた。大技はないが、どちらもミスが少なく侮れない。

 米国のイザボー・レビトは潜在能力が高く、まだ15歳と将来性豊か。3月の世界ジュニア選手権で頂点に輝いた若き女王は、GPシリーズ開幕戦で地元の大歓声を背に堂々とした演技を見せて初の表彰台に食い込んだ。2戦目のイギリス大会でもクオリティの高い演技を披露し、優勝した三原とはわずか1.69点差だった。線が細く、まだ荒削りな部分はあるが、上位が崩れる場面があれば表彰台を狙える力を十分に秘めている。

 世界6カ国でGPシリーズを戦い、成績上位6名のみが戦うことを許される頂上決戦「GPファイナル」。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの主役候補を占う上でも、見逃せない大会だ。

 女子シングルは、現地時間9日21時5分(日本時間10日午前5時5分)予定でショートが行なわれる。はたして、日本女子は4年ぶりの表彰台に立てるのか。サッカーのカタールW杯にも負けない熱い氷上バトルが、いよいよ始まる。

文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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